地域戦闘コマンドの改革研究

obama_cocom.jpg23日付米空軍協会web記事が、Atlantic Councilが発表(22日)した米軍地域戦闘コマンド(geographic combatant command)改革研究レポートを紹介しています
執筆者は懐かしのJames Jones退役海兵隊大将など元軍人3名ですが、元大使や国務省&国防省高官を交えた精力的な議論を踏まえての提言であり、包括的な政策提言となっている模様です
検討の背景には、ヘーゲル国防長官が進める「司令部スタッフの2割削減」も重くのしかかっているようですが、現在の体制を「過ぎ去り時代の遺物」と批判し、「全政府機関の窓口たれ」との方向性の元、国務省高官高官の地域コマンド司令部配置等を主張しています
同提言を米空軍協会web記事は
●Atlantic Councilは、6つある地域戦闘コマンド(太平洋軍、中央軍、欧州軍、アフリカ軍、北米軍と南米軍)の指揮系統や機構における国務省の役割をより拡大するよう提言している
●提言は、元将軍や元大使等の文民からなる「特別チーム」の議論の結果として、地域戦闘コマンドの組織や任務の焦点を根本的に変革するよう求めている
Command-cng.jpg●現実として「鍵となる地域において、実質外交政策や国防政策の推進が出来るのは米軍の地域戦闘コマンドだけ」との認識に立ちつつ、「米国政府の地域での行動は、各政府機関の間での連携不足や調整不足であることが大部分である」と現状を分析を批判している
●改革案では、各コマンド司令部内に国務省の上級外交官である地域補佐官を配置し、地域全体を見通して外交政策を推進するため、外交資源を有効に活用しながら外交・安保施策全般を融合して推進する権限を付与するべきと提起している
●また、現在の「combatant command」との呼称が軍事的アプローチを強調しすぎるイメージを与えるため、「unified regional command」に名称を改めるべき
昨年8月にご紹介した地域コマンド再編成の「噂」
(Defense-Newsの「情報筋」話)
北米軍と南米軍を統合してアメリカ軍や西方軍へ
—米国防政策で最も無視されてきた中米や南米政策を、北米軍の資源も投入して一元管理がベター
—特に同地域の麻薬取引問題を考えるとき、北米と中米・南米間の麻薬取引対処の一元統括が有効
アフガンとパキスタンを、中央軍から太平洋軍へ移管
—中央軍担当地域にあるアフガンとパキスタンの問題は、外交、経済や貿易の問題まで含め太平洋軍担当のインドと密接に関係しており、インド担当者はアフガンとパキスタンを含めた地域情勢全体を把握していないと良い仕事は出来ない。
司令部スタッフの2割削減対処に
combatant command.jpg—2011年に米軍は効率化のため「Joint Forces Command」を廃止したが、3000人のほとんどは統合参謀本部に吸収
—地域コマンド司令部の規模は、2010年から12年にかけて7%(約1000名)も増加。経費削減の中で大きな問題
—従って、司令部スタッフの2割削減を成し遂げるには、コマンド数の削減を検討せざるを得ない
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さらりと実質外交政策や国防政策の推進が出来るのは米軍の地域戦闘コマンドだけ」と表現されている模様ですが、極めて冷徹で現実に即した見方なのかもしれません。
鍵となる地域では、関係国は米国大使館ではなく、まず軍事力を司る「米軍の地域戦闘コマンド」に目が向くと言うことでしょうか・・・。
日本の大学で「国際」と名の付く学科の先生方には、講義で活用して頂きたいレポートかもしれません
Atlantic Councilのレポート現物(2.3MB)
→http://www.atlanticcouncil.org/images/publications/All_Elements_of_National_Power.pdf
米外交の「軍事化」を懸念
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1

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