露艦艇改造のインド空母が運用に近づいた!?

India-CV.jpg7日、インド海軍のRobin Dhowan新司令官が現地記者団に露艦艇ゴルシコフを改造したインド空母が航空機と共に海上行動を実施中だと語りました
現在インド海軍は、1950年代に英海軍が建造して1984年に引退した空母を「下取り」して改修し、空母「ヴィラート」として保有。ハリアーやヘリを搭載していますが、なにせ老朽化が進み稼働率が極端に低下しています
そこでインド海軍は、国内での紆余曲折の議論を経て、2005年頃から国産空母と海外からの購入の2本立てで後継空母導入を進めています
しかし両方の計画とも大幅な遅延と価格高騰に見舞われており、本日ご紹介する購入版も大変な難産となっています。過去の経緯については記事後半でご紹介します
7日付米海軍協会web記事によると
Indian-Mig-29K.jpg●Dhowanインド海軍司令官は7日記者団に、「現在、インド海軍が導入した空母ヴィクラマーディティヤ(Vikramaditya)は、作戦運用展開(is now operationally deployed)しており、インド軍パイロットが操縦するMig-25Kとともに洋上航海中である」と語った
●米海軍の空母の防御は、空母戦闘群に所属の他の艦艇が担当するが、通常ロシアの空母は強力な種々の兵器を搭載して防御網を構築する
しかしこのインド空母は防空用機関砲等も装備しておらず、最初の定期修理時に装備される予定
同空母に着艦するMig-29の機内からの映像
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-14
復習:2本立てインド空母導入苦難の道(2013年8月の記事より)
露艦艇改修版の苦難の道
india-CV-Russia.jpg●2005年にインドはロシアから「航空巡洋艦アドミラル・ゴルシコフ」約4万トンを取得し、2008年の就航を目指してロシアの工場で改修を開始した。
●しかし、ロシア側の改修作業や経費見積もりの甘さから作業が難航、改修部位にもトラブルが頻発するなど工期が延び延びになっており、昨年末の時点で完成は2013年10月から12月と報道されている
●改修の遅延に伴い経費も増大しており、当初の15億ドルから23億ドル程度にまで跳ね上がっていると言われている。
●なお、本空母は「ヴィクラマーディティヤ」と命名され、スキージャンプ甲板を持つ。紆余曲折の結果MiG-29Kを21機と対潜ヘリKa-32を13機搭載する
「ロシアで改修中のインド空母」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-12
●2013年11月15日付Defense-Newsによれば、空母「ヴィクラマーディティヤ」は11月16日に就役し、アントニー印国防相が見守る中、ロシアの造船所で式典が行われる。11月30日にインドへ向け出航する予定
約1700億円の追加経費と5年の納期遅延の末、やっとこの日が。また訪露にあわせ、第13回の印露軍事技術協議を開催
→http://www.defensenews.com/article/20131115/DEFREG03/311150019/India-Commission-Russian-Carrier
国産版の苦難の道
初の国産空母「ヴィクラント」(IAC-1)(写真下)の建造が始まったのは2005年。海外からの購入方式には課題が多いことを背景に、種々の議論を経て国産を追求する決定がなされる。
●ヴィクラントは3万9千トンの空母を目指し、2010年進水、2012年就役を予定していたが、造船所のインフラが不十分な事や、建造費の高騰などによる建造計画の大幅な遅延が発生している。
●2012年6月、他の船の建造のためドックを空ける必要があり、建造途中でドックより引き出された。2013年現在、その時点より建造はほとんど進んでいないと伝えられている。
India-Vikrant.jpg●「インド海軍筋」は、空母ヴィクラントの建造進捗率が僅か3割程度で、インド海軍が発表している2018年の運用開始は2020年頃まで延びるだろうと語った。
●同空母は2013年8月12日に一端進水し、配管との行程を終えた後、再びドックに戻って推進装置を搭載し、兵器システム等も装備した後に海上試験に入る予定となっている。
●インド国防省は2016年から試験に入るとしているが、インド海軍筋は2018年以降にならざるを得ないだろうと語った
●海軍報道官は「空母建造が大変複雑な工程であることを理解してほしい。我々も当初は2015年には完成すると考えていた」と見積もりの甘さをを認めている
●一方で同報道官は「海外から調達する工作機械の遅れも原因の一つで、これにより3年ほど遅延した。また空母のユニークさから細部の設計に時間かかり、これによる遅延もあった。しかしこれらも解決され、2018年の配備を念頭に置いている」と強気である
●同空母には、イスラエル製の艦艇防空システム「Barak」、多機能レーダーシステム、A630型のCIWS、対潜水艦システム等々が搭載され、戦闘管理システムで統合管理される。
●スキージャンプ式でMiG-29K等の固定翼を20機と、Ka-31ヘリを10機搭載する予定。なおインド海軍は、国産空母の2番艦の構想を練り始めており、6万トン級を想定している模様。
●インドの研究機関の専門家は「一番艦で苦労しようが、もう外国からの空母調達は難しい。売りに出る空母もないしトラブルも多い」と述べ、「海外パートナーと協力し、技術支援を受けながら国産で取り組む方式がより賢明な方法だ」と語っている
●退役海軍提督は「空母は3隻必要だ。1隻が修理や訓練を行い、他の2隻が分担してインドの東西を担当するのが良い。空母には補給艦や護衛に当たる艦艇群も必要になる」と語った
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
インドとの多角的な防衛協力は、昨年末に日本が定めた各種国防基本文書に盛り込まれている重要セサクです。
そんなインド海軍はいずこへ・・・。今後も時々フォローしたいと思います・・
石破茂・自民党幹事長は、ソ連や欧州の大陸国の例を挙げて「大陸国家で海軍運用で成功した国はない」と喝破しています。中国にはそうあってほしいモノですが、インドはどうなのでしょう
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-07-29-1

タイトルとURLをコピーしました