22日付Defense-Tech記事は、ウクライナを巡る米露の対立により、両国軍が兵器として育成訓練してきた「イルカ」が黒海で対峙することになるかもしれないと報じています
イルカの直接対決は少々大げさな様ですが、歴史ある「非公開海洋ほ乳類プロジェクト」のさわりと、その後継となる予定の無人水中艇の状況を合わせてご紹介します
22日付Defense-Tech記事は
●米露海軍が黒海で次の威嚇手段として持ち出すのは、駆逐艦でもフリゲート艦でもなく、訓練されたイルカの一群かもしれない
●ロシアのイズベスチア紙は、米露両軍のイルカ部隊がこの夏にも対峙することになるかもしれないと報じている
●米海軍の「海洋ほ乳類プログラム:Navy Marine Mammal Program」の報道官であるTom LaPuzza氏は、米海軍は次の黒海での演習にイルカを参加させる計画だと認めた
●ウクライナ海軍も軍用イルカの部隊をクリミア半島に保有していたが、ロシアが強制的に編入したため、イルカ部隊もロシア側の手に渡った。
●米海軍はイルカを、機雷捜索(排除も?)、水中からの侵入者発見、敵ソナーの妨害に使用している。ロシアも同様の意図を持っている模様
●米海軍は約50年前から「海洋ほ乳類プログラム」を始めており、現在少なくとも75頭のイルカをサンディエゴで飼育している
●また米露両軍はともに、アシカ(seals)も軍用に訓練させている
●なお米海軍は、2017年に「海洋ほ乳類プログラム」を終了し、無人水中艇に切り替える計画である。General Dynamics社の「Knifefish」が想定されている
GD社の「Knifefish」関連報道
(2013年8月21日付)
●GD社によれば、米海軍用に開発中の無人機雷捜索艦「Knifefish」に対する包括的リスク低減プログラムが終了した
●同社は、同無人装置の各システムと各ソフトの総合的融合状況を確認し、高性能ソナー、推進システム、高密度記憶装置等の主要なパーツも併せて試験を実施した
●GD社の計画責任者は、長さ約6mで重さ約800kgの同装置開発について、「無人装置の大きさや重さの制限、更に電源容量も克服することが開発の鍵である」と述べている。
●「Knifefish」の部隊配備は2017年を予定しており、沿岸戦闘艦LCSから海中に展開させて機雷対処を実施させる。2機の無人艇と発進回収装置がセットになったシステムである
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米海軍が75頭ものイルカを軍用に保有しているとは・・・。
イルカ部隊解散後、当該イルカ達はどこで第2の人生を送るのでしょうか? 間違っても「悪の帝国」に流れることのないよう、注意して頂きたいものです
「Knifefish」は非公開部分が多い装備品でしょうが、海底資源探査や地震予知等の民生分野への応用の可能性を秘めた技術も含まれるのでしょうから、日本も大いに協力出来たら・・と思います
でも一言言いたいです。イルカやアシカを兵器として使用する国に、捕鯨についてとやかく言われたくないな・・・
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