24日にヘーゲル国防長官が2015年度国防予算案の概要説明を行い、3月4日にオバマ大統領が政府の予算案全体を明らかにしますが、関連する米空軍の小ねた4つを「前座」でご紹介します
James空軍長官の講演を中心に、まず、久々に米空軍投資優先3本柱(F-35、KC-46A、LRS-B)のひとつである次期爆撃機LRS-Bについて、2つめは24日のヘーゲル会見で明らかになった「新ジェットエンジン研究」について、更にF-35とKC-10と救難救助ヘリにも触れます
2015年度予算案を巡っては様々な論考が出始めていますが、それらを読む際の参考としてご紹介します
LRS-B(long-range strike bomber)について
●26日、James空軍長官は講演で「LRS-B機種選定の為の企業提案を募るRFP(提案要求書)を今秋に発出する予定である。全ての要求事項を含む最終版のRFPであり、その後選定作業が本格化することになる」と語った
●また長官は「現在は2つのチーム(企業群)が提案や選定作業に備える準備を行っている」と述べた。2チームの具体名には言及しなかったが、「Northrop Grumman」と「Lockheed Martin and Boeingチーム」であろう
●LRS-Bに関しては情報がほとんど公開されていなかったので、空軍長官が「3月4日にはより詳細を公開する」とまで発言したことに会場全体が驚かされた。
●2020年代半ばに運用を開始し、80~100機を調達し、1機550億円以下で、現存の成熟技術を活用して開発リスクを局限し、突破力があり、長距離精密誘導兵器を相当量搭載出来る機体が想定されていると言われてきたが、細部は不明のままだ
●Larry Spencer空軍副参謀総長は「過去の開発の歴史を顧みれば、開発中に新技術を次々に導入したがり、価格と開発期間が大幅に超過する事があった。そのような誘惑を断ち切らねばならない」と述べている
新エンジン開発について
●(24日にA-10全廃で浮いた経費で新エンジン開発に1000億円投入との発表された件について、)26日、米空軍研究所AFRLのRicky Peters上級部長は、大きな可能性を秘めた「adaptive engine technology」が研究の念頭にある
●約1000億円は5年計画に投入され、開発、実用化、デモ検証までを想定しており、速度、推力、パワー、燃料効率面での改善を目指している。現在取り組んでいる「ADVENT:Adaptive Versatile Engine Technology」の概念も包含する研究開発である
●24日の会見でヘーゲル長官も「相当のコスト削減と燃料消費量削減を予期している」と説明し、また「維持整備コストの低減と軍需産業基盤の維持にも貢献する」とアピールしていた
F-35の調達機数削減とKC-10について
●(24日のヘーゲル会見では、強制削減継続で今後5年間の調達機数を24機削減せざるを得ないと言及したが、)26日、James空軍長官は講演で、2016年度以降も強制削減が継続されれば、今後5年間の空軍F-35調達機数を19機削減しなければならない
●同様に強制削減継続ならば、KC-10を59機全て廃棄することになる。原型となるDC-10の民間部門での引退が進んでおり、部品調達コストが急上昇しているため
延々検討の次期救難救助へり機
●26日、James空軍長官は講演で、兵士の救出は、優先度が高く神聖な任務だと認識しており、10年以上にわたり、現有HH-60ヘリの後継機について検討議論してきたが、2015年度予算案には救難救助ヘリの計画は含まれていない。
●現状では、どの方向が良いのか決断していない。今財政苦しい中でも進めるべきか、後送りすべきなのか? 現有機を維持改修・近代化すべきなのか、新規を導入すべきなのか?
●現有機が老朽化して傷んでいることも十分承知しており、何かせねばならないと私自身も気にかけている。しかし他の優先事項との兼ね合いがあるのだ・・
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ヘーゲル長官による2015年度予算案会見
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-02-24
次期爆撃機検討の過去記事「LとBでNと対決へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-10-26-1
3月4日に、LRS-Bに関してどのような情報提供があるのか楽しみです
海軍の空母艦載無人機UCLASSが、ステルス性も程々、空中給油をさせるかも、有人機のウイングマンとしてミサイル発射母機にするかも、突破型の爆撃機ではない等々の「怪しげな方向」に向かいつつありますので、空軍には王道を進んで頂きたいものです