太平洋空軍司令官:日韓は難しい&C-17と中国へ

日韓と協議する際は、日米韓トライアングル協力や情報共有の必要性を話題にするが、直ちに実現することはないだろう
Carlisle.jpg10日付Defense-Newsが、Carlisle太平洋空軍司令官へのインタビュー記事を掲載しました。1月に行われたインタビューで、強制削減のためアジア太平洋回帰が難しいこと、日韓関係が厄介なこと、中国関係への取り組み等について語っています
驚くべき発言があるわけではありませんが、アジア太平洋地域での米空軍の取り組みや考え方が伺えますので、つまみ食いでご紹介します
Q:アジア太平洋リバランスに関与しているか
●継続中の中東での作戦のため、また予算の削減のため、言葉通りには進んでいない。資金があれば出来ることも、強制削減の中では非常に難しい
●それでも、アジア太平洋に関する予算は2014年度は少しは守られ、15年度はより僅かに守られるだろう。しかし16年度にまで強制削減が継続すれば、アジアリバランスはより一層困難になるだろう
Q:地域の同盟国は懸念していないか
彼らは大いに懸念している。演習をキャンセルし、参謀長会議を延期したことで、同盟国の懸念は増している。しかしこの予算の状況では、その中でやるしかない
●同盟国等は、米国が苦しい中でもリバランスに取り組む姿勢を理解している。しかしどれだけ実現できるかを、多いに懸念している
Q:中国の中距離弾道ミサイルへの対処戦略は?
●統合の航空ミサイル防衛IAMDには3つの柱がある。一つは、ミサイルが発射される前に発射機を粉砕する作戦である
●次に、飛行場や艦艇に装備しようとしている、飛来するミサイルから防御する新しい能力の検討である
●3つ目は、格納庫等の強化や物資の分散配置による消極防空である
Q:IAMDに関する同盟国や海軍との融合は
Carlisle-PACAF2.jpg陸海海兵隊や沿岸警備隊とは、太平洋軍司令官の下、良く融合されている。
●同盟国とは、例えば日本はパトリオットを保有し、協力もよくなっている。韓国との関係も同様である。今は日本と韓国を含めてどのように融合するかを緊密に検討している
●かなり遅れているが、フィリピンとも協議を進めている。
●極めて率直に言えば、日韓との関係は道半ばにあり、軍事組織同士はよりオープンな雰囲気にあると思うが、見通しはそれほどよくない。日本と韓国の間には歴史的な課題が存在し、更に最近の出来事(恐らく靖国参拝)が韓国民を怒らせている
●これらが共に行動することを妨げている。彼らと協議する際は、トライアングルや情報共有の価値を話題にするが、直ちに実現することはないだろう
日本と韓国にとって、それぞれの国民の意識が非常に重要である。一歩前進することもあるが、それぞれの国での出来事で、再び一歩後退するのだ。
Q:中国軍との間の定期的な情報交換は
定期的とまでは呼べない。米中間で貿易、文化、教育、経済面での協議が続いていても、米国が台湾に武器を提供する様なたびに、まず中国側は軍事交流を停止してきた。
しかしこのような事は過去のことにしたい。中国主席もそれを望んでいると思う。この夏には、米太平洋海軍が中国海軍をRIMPACに招待し、彼らはそれを受けたところである
今秋の中国エアショーには訪中したいと考えており、可能ならC-17輸送機を展示したいと思う。調整を実施中である
●このような意思疎通の道を保ちたい。中国空軍で私のカウンターパートになるような軍人を米国に招きたいとも考えている。2月のシンガポール航空ショーで、中国側関係者と会う予定になっている。
Carlisle-pacaf.jpgADIZに関しては、どの国にも設定する権利はあると思うが、中国以外の国は国際規範やルール沿って行っており、近隣の国と相談して設定している
●しかし中国は何の相談も無く、誰とも相談することなく、どのようにするつもりなのか、他のエリアでどうするつもりなのかも不明確だ。「はいこれ」だけだ。何の説明もなく、他国と同じだというのみである。正しいやり方ではない
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冒頭「驚くべき発言があるわけでは無い」とご紹介しましたが、それでも予算不足で太平洋リバランスが不十分だと認め、日韓関係のもつれで日米間の3カ国軍事協力が進まないと不満を漏らし、中国にC-17を引き連れて訪問すると発言しています
結構しっかり、慎重ながらも言いたいことを言っています。
太平洋海軍司令官(最近着任した初の日系司令官)の発言にも今後注目して行きたいと思います
日韓関係については米軍人トップも不満表明
デンプシー議長「(日本と韓国が)直面する脅威に対して相互運用可能な関係になるべき
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-28
カーライル太平洋空軍司令官の発言
「アジア太平洋地域を語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-06
「太平洋空軍の新戦略」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13
カーライル将軍の過去発言特集(エリートです!)
「カーライル司令官の昨年9月発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-22-1
「同2011年11月発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-05
「同2011年9月発言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-30

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