9日付Defense-Newsが、世界の原油の6割が通過するというホルムズ海峡の安全を脅かす脅威として、イランの小型潜水艦を紹介しています。
いわゆる一つの「非対称脅威」かもしれませんが、同海峡周辺の地形や対潜水艦作戦環境を考えれば、十分に懸念材料たる兵器のようです
9日付Defense-News記事は・・・
●6日湾岸諸国海軍司令官会議でUAE海軍司令官であるムシャラフ少将は、「アラビア海で活動するUAE海軍にとって、ソナーの使用が難しい浅い海域で使用される小型潜水艦を相手にした、対潜水艦作戦が真の課題となっている」と語った
●更に、「商船の往来が生み出す雑音や妨害音が潜水艦探知装置の能力を減殺し、小型潜水艦にとって発見されにくい状況を生み出している」と解説した
●民間研究機関のNTI(Nuclear Threat Initiative)によれば、イラン海軍とイラン革命防衛隊海軍は3種類の潜水艦を実際運用しており、そのうち2種類が小型潜水艦である
●やや大型のキロ級(4000トン)は1992年から96年に3隻導入され、常時2隻は運用可能な模様で、時々ホルムズ海峡東やアラビア海で活動している。しかし運用には160フィート以上の推進が必要で、ペルシャ湾の1/3のエリアでしか使用できない
●一方で、UAE海軍司令官が脅威と語ったのは、2007年から導入されている小型潜水艦である。NTIによれば、「Ghadir-class:180トン」と「Nahang-class:400トン」が浅瀬で連続使用される時が、脅威を恐れるべき時である
●「Nahang-class」は1隻のみであるが、「Ghadir-class」は10から19隻保有している模様。両艦とも2つの魚雷管を持ち、機雷の敷設や特殊部隊の投入も行う模様。
●その他にも、2人乗りの半潜水可能な「swimmer delivery vehicle」が現在開発試験中だといわれている。NTIはこれを沿岸地域のみの使用と分析し、機雷敷設や特殊部隊輸送、ISR任務用だと考えている
●UAE海軍司令官は「周辺の海上交通の多さを考えれば、小型潜水艦の運用は容易ではないが、脅威であることには変わりない」と述べ、「我々はこの小型潜水艦の能力、作戦要領、活動エリア、弱点等々の情報を必要としている」と語った。
●そして「潜水艦脅威と戦うには種々の方策があるが、現在取り組んでいる潜水艦導入には長期間が必要だ」、「脅威は明確で差し迫っているため、今脅威に対処するための手早い何かを我々は必要としている」と語った。
●更に「無人水上艇も選択肢の一つだが、小型潜水艦脅威の対処に有効な解決策の提案を受けたことは無い」、「必要なのは、潜水艦を発見追跡する次世代のソナーとそれを使いこなせる艦艇の乗員である」ととも語った
●バーレーン海軍作戦幹部は「航空優勢や海上優勢は達成したかもしれないが、アラビアの海で水中優勢は全く無い」と現状を短節に語った
●そして同幹部は「情報の交換と共有、更にデータベースの構築」の必要性を訴えた。
////////////////////////////////////////////////////////////////////////
「Ghadir-class」の写真と推定内部構造の図を見ると、地域の特性を踏まえた素晴らしい「非対称ぶり」に感心してしまいます
北朝鮮の技術を活用したとの情報もあるようですが、関与の程度は不明です
NTI(Nuclear Threat Initiative)の分析は
→http://www.nti.org/analysis/articles/iran-submarine-capabilities/