8月22日付Bloombergサイト記事は、米国防省が8月1日に米軍幹部へ説明したとされる2014年度予算に関する内部資料を入手し、その概要を報じています
「未決定段階の資料」と断りつつも、本年10月1日からスタートの2014年度予算でも「強制削減」が回避される見込みが無いことから、どこを削減し、どこを守るかに関する方向性を示した内容となっています。
最近、国防省幹部や軍高官があちこちの会見や講演で述べている中身と一致するので、明るい話題ではないですがご紹介します
Bloomberg記事は内部文書を報じ・・・
●強制削減が避けがたいと予想した国防省は、2014年度に少なくとも6300人の文民職員を削減せざるをえず、より精査することにより削減数を増加せざるえを得ない状況。ただ、強制無給休暇は避けたい模様
●文民職員の削減は、陸軍で2千人、海軍で2600人、国防省機関で1500人、空軍も同様に約1%の削減を迫られている。仮に2015年も継続したなら、特定個人への早期退職勧奨や自発的退職推進策を勧めざるを得なくなる
「強制無給休暇で生産性ガタ落ち」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-07-30
●強制削減により要求予算額より10%少ない中でのやりくりを迫られるが、軍人給与に手を付けない前提があり、外部契約職員や装備品調達、研究開発費用などから捻出せざるを得ない状況。当然部隊の訓練経費も影響を受ける
●将来に備えた主要な装備計画への影響は何とか避けたい意向もあるが、2013年度にまして厳しい姿がうかがえる
●国防省は議会に、大規模な予算組み換えを要望しているが、了解を得るのは困難と見られている。これにより、即応体制レベルは一部でせいぜい現状維持、多くの部署で低下することになる。空軍では半分の戦闘機や爆撃機部隊が戦闘態勢を維持できず、海軍では10個の内2個の艦載機航空団が半年間飛行停止になる見込み
●国防高等開発局DARPAの関連では、F6 satelliteのデモ計画がキャンセルに分類されている
●装備品調達では、空軍のF-35や新空中給油機や次期長距離爆撃機計画を生かすとすれば、それ以外の重視度の装備が削減される。空軍では弾薬やミサイル(空対空及び空対地巡航ミサイル)、麻薬対策費、訓練場維持費、無線や衛星経費が大きく削減され、空軍ではこれら予算の3割がカットされる。
●海軍は4隻の予定の沿岸戦闘艦LCSを1隻削減し、F-18やF-35やオスプレイやMH-60ヘリを含む25機の調達がカットされ、空母Gワシントンの修理が延期される
●陸軍は車両、施設経費、装備品修理維持経費が削減され、Grey Eagle無人機の中止や縮小、Ground Combat Vehicleの開発延期等々、3割減の見積もりが示されている
/////////////////////////////////////////////////////////
「空軍では半分の戦闘機や爆撃機部隊が戦闘態勢を維持できず」は大きな影響です。
今も軍の姿に固執するあまり、いつまでも現場を犠牲にしていると、本当に「空虚な軍」になってしまいます。脅威の変化を真摯に受け止め、戦い方を根本的に変え、装備体系を再構成することが求められています。
その点、海軍のF-35調達削減(延期?)は大きなニュースです。夏前に海兵隊司令官もF-35削減をほのめかしましたが、ドミノ倒し現象の前触れか??? 外部要因でも何でも、無理やりにでも、このような装備を遠ざけることが肝要です。
「海兵隊トップがF-35削減言及」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-27
しかし米国は、軍、政府、議会のフリーズ状態から抜け出せないで居ます。再び、リーマンショック以前のバブル現象も見られるようですが、この国は大丈夫でしょうか?
予算削減を巡る最近の記事
「強制削減対策SCMR発表」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01
「空軍のQDR担当将軍が語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-08
「強制削減とDCの雰囲気」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-02-09