先週開催されていた米空軍協会主催の航空宇宙関係者の一大イベント・Air & Space Conferenceに、国防省高官や軍指揮官が登場し、米空軍の現状や将来像について発言が相次ぎました。
先週ご紹介した次期F-35責任者のボグダン少将の発言は、郡内や業界内に稲妻のように響き渡ったようですが、その他にもほどほどに興味深い発言がありましたので、つまみ食いでご紹介します。
特に本日は、19日の講演者から、カーター国防副長官、カーライル太平洋空軍司令官、特殊作戦軍司令官、シンクタンク露研究者の発言をご紹介します。21日付AF-Magazine記事より
カーター国防副長官
(豪に空軍のローテーション派遣を)
●新国防戦略が示したように、将来戦力は機敏で、小ぶりでも引き締まり、即応態勢にあり、技術的に先端でなければならないが、空軍は誰よりもその方向を理解し、規模は縮小しつつもサイバー、宇宙、電子戦、無人機システム、長距離攻撃ファミリーに投資している。
●国防省はそのような科学技術投資を支援する
●米空軍の革新がアジア太平洋地域にセキュリティーを提供し、繁栄を支えている。米国は引き続き、同盟国等を武器供与や多国間演習で支えていく。
●米軍は全ての最新装備を同地域に提供するほか、空軍は宇宙、サイバー、爆撃機プレゼンスを僅かな追加投資で本国から提供できる。豪への空軍部隊のローテーション派遣も示唆
カーライル太平洋空軍司令官
(Air-Sea Battleの育成と作戦への適応準備)
●地域同盟国等との軍事的関与に力点を置いている。米空軍と関係国戦力との共同運用能力向上に勤めており、同地域では40以上の2国間や多国間の演習を行っている
●太平洋地域への「Pivot」では、継続的に米本国から空軍兵士をローテーションで当地域に派遣し、関与や訓練に当たらせる計画。
●Air-Sea Battleの育成(fledgling)と作戦への適応に懸命に取り組んでいる。これには防空とミサイル防衛の融合、第7艦隊との共同作戦等が含まれる
●米空軍は5世代戦闘機のかなりの部分を太平洋地域に配備する考えを持っている。新空中給油機KC-46Aを当地域に配備するかローテーションにするかは指導部で決定していない
米空軍特殊作戦軍司令官
(オスプレイ部隊を英国やアジアで)
●米空軍特殊部隊のオスプレイ部隊(CV-22)を英空軍のMildenhallに配備する計画である。おそらく2013年の6月か7月になると思う。
●わが部隊は老朽化が進むMC-130特殊作戦機をオスプレイに更新し、同じく旧式のTalon IIsやCombat ShadowsをMC-130Jに更新するつもりである。
●アジア太平洋地域の空軍特殊部隊にも、2014年にはオスプレイ導入したいと希望している
ブルッキングス研究員Steven Pifer
(プーチンの露空軍近代化計画は怪しい)
●プーチン大統領は今後10年間で約64兆円をつぎ込み、露空軍の戦略部隊や600機の作戦機を新規購入すると宣言したが、私は懐疑的に見ている
●プーチンの前回の大統領就任時と比較し、政治的環境も異なり、中間層が政府に不満を持ちつつある状態にある。またロシアのGDP上下動は、原油や天然ガス価格の上下動と連動しており、極めて不確定で流動的である
●またロシアの人口は減少傾向であり、2050年には1億2千万程度になることも下降要因である
●ロシアは中国の軍事力近代化を懸念しており、またNATOがアフガンから撤退した後の地域情勢を、特に近隣に同盟国が無い中で、特に気にしている。
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空軍のオスプレイはどこへ展開するのでしょうか???
豪への空軍戦力ローテーション、5世代戦闘機の多数配備、Air-Sea Battleの育成(fledgling)と作戦への適応、防空とミサイル防衛の融合、第7艦隊との共同作戦等・・・どんどんやっていただきましょう。
これが本当で、日本にも関連しているとすれば、防衛省の方もお忙しいことでしょう。
「ゲーツ長官が空軍へ最後通牒」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-17
「空軍は単に飛んでいたいのか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-02
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