国防予算の強制削減回避へレビンが動く

LevinOkinawa.jpg12日、上院軍事委員会の重鎮レビン議員(D-Mich.)がNational Press Clubで講演を行い、国防予算の強制削減(sequestration)回避に向けた超党派の動きがあり、現在今後10年で$500 billion削減を$100 billionにまで減額する案で協議を始めていると語りました。
しかしこの削減額の減額には、赤字財政解消策への共和党と民主党の妥協が前提とされており、かつレビン議員が共和党大統領候補のロムニー氏に要求を突きつけるなど、まだまだ波乱含みです。
重鎮レビン議員は講演で・・・
LevinBudget.jpg仮に財政赤字削減協議がまとまれば、国防予算には現計画の今後10年間で$487 billion削減に加え、(強制削減既定の$500 billionではなく)$100 billionの削減が加算されることになる。
●国家財政健全化への取り組みであり、国防予算も例外とはせずに貢献してもらう。しかし強制削減既定の$500 billion削減には殆ど賛成者はおらず、私も国防に大きな影響を与えることから年間$10 billion以上の削減は行いたくない
●先週、強制削減を回避するための超党派の政策センターが、議会に強制削減回避を促したが、そこでも国防省がある程度の更なる貢献を行う必要性が示されている
●上院内でも多くの同僚が先行的な同意を求めて動き、合理的で皆が妥協する方策のシグナルを発している
もし共和党が強制削減を回避したいのなら、税制問題で妥協姿勢を見せなければならないだろう。共和党は追加歳入のための一線を譲らないが、税収を増やすこと無しに財政削減を成し遂げた大統領はいない
Romney.jpg●共和党のロムニー候補が国防予算を増額したらしいが、彼には答えるべき多くの質問が残されている。少なくとも彼が拒否し続けている2つに答えねばならない
まず同候補は会見を開き、次に国防予算の増額をどこからひねり出すかを明らかにしなければならない。どこ方の分野を削減するのか、政府支出の効率化を進めてひねり出すのか等々の方向性である。
●この夏の間に共和党サイドが、ロムニー候補を含め、税制に関する柔軟性を見せるかどうかを注視することになる
強制削減問題以前に2013年予算が・・・
13日、パネッタ国防長官とデンプシー統合参謀本部議長が上院の予算関連軍事小委員会に出席し、強制削減(sequestration)は大問題だが、その前に2013年度予算案を「いじらないで欲しい」と切ない訴えを行っています。
なにせ、国防省が削減目標全体を見て削減したいと主張している部分を、議員の地元絡みで「削減するな」と修正しようとしているのですから・・・
パネッタ長官は3点を訴えています
budgetpanetta.jpgbudgetdempsey.jpgまず、老朽航空機や艦艇の削減計画を妨げないで欲しい。老朽装備を残せば維持費がかさむ
陸軍や海兵隊の兵員削減も妨げないで欲しい。兵士を維持したまま予算を削れば、訓練や装備不十分な「空虚な軍」になってしまう
医療費や退役軍人経費の見直しも認めて欲しい。兵士との信頼感を維持し、予算削減に対処するにはこの方法しかない。
デンプシー議長も「予算には、訓練費、維持費、近代化費用しかない。どれかを残せば他を削らざるを得なくなる。マジックはない」と悲痛な訴えです。
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これまでも有志議員による強制削減回避の動きがちらほら報じられてきましたが、具体的な削減額妥協案($100 billion)が示されたのは初めてですのでご紹介しました。
どこの国も似たような・・・。暑い夏にしていただきましょう。ワシントンと永田町や霞ヶ関だけ・・・。
なお、同講演では海兵隊グアム移転予算を認めないとの発言も・・・。レビン議員は在日米軍再編の現計画に反対です
「勝手に在日米軍再編を決めるな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-04-25
国防予算と強制削減問題
「強制削減検討は夏から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-01
「2013年度予算案の概要会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-01-27
「トランスクリプト予算案会見」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-01-1
「合意に至らず!強制自動削減へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-22
「追加予算削減の致死的影響」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16

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