対イラン:イスラエルの動向

IsraelF-15.jpg対イランを巡っては、先週イスラエルのネタニアフ首相が訪米してオバマ大統領と会談したことで話題になりましたが、11日付「Defense-News」が多様な側面から本件を取り上げていますので、ご参考までご紹介します。
なお、先々週のバラク国防相、先週のネタニアフ首相に続き、今週ガンツ軍参謀総長がワシントンを訪問予定です。
6日新型貫通弾を発表
●6日、イスラエルの軍需産業IMIは、MPR-500という500ポンドの貫通爆弾を試験映像と共に発表した。
●MPR-500は、イスラエル空軍が数千発保有するMk82爆弾を活用し、光学又はレーザー誘導で目標を精密攻撃でき、貫通点の半径3m以上に破片を飛散させないエネルギー指向性を持っている。またJDAM等の誘導装置の使用も可能
MPR-500.jpg●同貫通弾は、イスラエルが既に1000発保有する250ポンドのGBU-39と5000ポンドのGBU-28の間を埋める兵器となる。
イスラエル空軍は、B-707をベースにした空中給油機の増数を検討している。この増数で20機程度のF-16やF-15に燃料を供給でき、より多くの兵器搭載が可能となる
8日付イスラエル地元紙は
●米側は、イスラエルが一方的に単独でイランを攻撃しないとの条件で、イスラエルの空中給油機能と貫通弾能力の強化を支援すると提案した模様。
●しかしイスラエル関係者は、この事実を否定した。
●なお、バンカーバスターと呼ばれるGBU-28は、2005年と2007年に計150発が米からイスラエルに提供されることに決定されているが、更なる提供については何ら決定は成されていないと米関係者は述べている
Defense-News記事その他
●イスラエル国内でも性急な単独攻撃への反対は根強いが、6日ネタニアフ首相は在米イスラエル団体での講演でホロコーストの言及しつつ、「我々は二度と、生存に関わる運命の単なる受容者にはならない」、「これが為に、イスラエルは自国防衛を自国で行うための能力を常に保持しなければならない」と述べている。そしてオバマ大統領の、全てのオプションを排除しないとの姿勢を評価している
GBU-28.jpg●しかしイスラエルと米国の間には、今後の進め方に見解の相違がある米国はイランが核爆弾の製造を決断するまで待つべきだと考えている。
一方イスラエルは、イランがウラン濃縮を継続する間にも、イランは核施設の対弾性を高め施設の複数化も進めるだろうから、兵器製造の決断時点まで待っていては遅すぎると考えている
●元米国防高官は匿名で語った。首脳会談の後、最終的には双方の国益に沿ってそれぞれの判断で行動することになろう、との認識を両国がそれぞれに感じた
●また同元高官は、イスラエルが過去2回世界を驚かした時、いずれもその前の段階で世界はイスラエルが出来るとは思っていなかった。その2回とは、1981年のイラク原子炉攻撃と2007年のシリア内の核疑惑施設攻撃である
Halutz.jpg●一方で、前イスラエル軍参謀総長で通常空軍力の伝道者でもあるハルーツ退役空軍中将は、「イランは大きな脅威であるが、イスラエルの生存を脅かす脅威ではない。従ってイラン攻撃の理由にイランの脅威を使用すべきではない」と訴えている。「軍事的オプションは最終的な手段であるべき」だと
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シリア情勢が混迷の度を深める中、イランにまで手を出すのか? はたまたシリアの展開によって、対イランの姿勢に変化が出るのか?
様々な思惑を含みながら、ますます分からなくなってきた中東情勢です
「イラン核施設の破壊は困難」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-02
「シリア情勢の複雑な影響」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-09
「前モサド長官イラン攻撃は馬鹿」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-12
「イスラエルがF-35で苦悩」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010

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