次期爆撃機は当面核任務なしで

112maritop.jpg2日、4軍のトップが揃って下院の軍事委員会に出席し、予算削減の困難や問題点、11月23日までに議会で話がまとまらなかった場合の「無条件自動的大幅削減積み増し」の危険性などを訴えた模様です。
本日はその中から、2日付「Defense Tech」が伝えているシュワルツ空軍参謀総長の証言から、表題関連についてご紹介します
シュワルツ参謀総長は下院で
●新たに開発する長距離爆撃機は核攻撃能力も備えたモノとするが、当初は通常兵器による攻撃のみを任務として運用する
●現在核任務を帯びているB-2とB-52が引退を開始するまで、新爆撃機に核任務の許可証を与えないことでコストを節約したい。コスト管理が理由である
112AFtop.jpg●再確認しておくが、新爆撃機は核兵器と通常兵器の両方を使用できるように設計され、必要な装備品を組み込んで製造される。従って、核任務を付与する段階で後戻りする必要はない。(大幅な機体改修は生じない)
●ただし、核任務を付与するには、通常兵器よりかなり念入りな込み入った(much more elaborate)テストが必要になる
新爆撃機の開発は、当面の間、実際に運用することになるGlobal Strike Command(GSC)ではなく、装備開発やシステム構築の能力と専門家を保有するAir Combat Command (ACC)が担当する。最終的にはGSCが引き継ぐことになるが。
●議会からもエネルギー省に対し、B-61核爆弾の近代化や改修改善を要望して欲しい
●現在予期している国防費$450 billionにおいても、空軍は数百の航空機(hundreds of aircraft)を自ら剥奪(divest)する事を視野に入れている。これ以上の削減となれば、その波及的影響は兵站部門を含め甚大なモノとなる。
●厳しい財政状況の中でも、KC-46空中給油機、F-35戦闘機、新爆撃機、更にMQ-9無人偵察攻撃機は非常に重要な装備の4本柱である。
●また、サンバー戦対応の強化は、唯一国防省や空軍内で拡大する分野である。
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112top4.jpg核任務を可能にするには、核爆発時に発生する高エネルギー電磁パルス(EMP)の影響を受けることなく飛行を継続できる機体にする必要があり、機内配線をシールドしたり、各種電子回路にEMP耐久性にしたり等々、多様な配慮や確認が必要なようです。
核任務可能なF-16がいずれ退役することから、F-35に核任務可能なバージョンを設けるか否かも、経費と欧州への戦術核配備の必要性を絡めて大きな課題となっています。
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「戦術核を搭載するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
しかし、ハードウェアを作り込んでおくことと、任務に使用することの間にはどのような手順が必要なのでしょうか? この辺りは核保有国しか分からないのかも知れません。
それから、「数百の航空機を自ら剥奪」との表現も中々「とげ」があって勇ましいです。しかし数百も何を削減するんでしょう。
「海空重視に陸軍の反応」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-11
「CNASレポート海空重視で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-10
「米陸軍が10個旅団削減案を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02
長距離爆撃機
「次期爆撃機に有人型は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1
「序論:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本論1:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本論2:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1
「もう爆撃機とは呼ばない」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-26

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