マレン統参議長は4軍のトップを集めて言った。
「我々の間で、互いにナイフを突きつけるようなことをするな」
29日、空軍協会主催の朝食会で講演した米空軍参謀本部の将来戦力計画担当部長(deputy chief of staff for operations, plans, and requirements)であるカーライル中将(Herbert Carlisle)は、予算削減を巡る検討とAir-Sea Battle検討状況について、断片的ながらその難しさを語っています。
同中将の職名はややこしいのですが、予算削減への対応を空軍の将来戦力を見据えて考えるスタッフのトップです。AirForce Magazine30日付のDailyArchives記事より
予算削減への対応について
●想定される予算削減が行われれば、複数の大規模な作戦を同時に、しかも即応して行う能力を失うことになる。つまり、我が今年3月に行ったようなことは出来なくなる。
●イラクとアフガンで戦いつつ、対リビア作戦に着手し、同時に突発的な日本での地震津波対応を行うことは出来ないと思う。米空軍内の皆がこの状況を認識している。この予算に対応できる「戦略探し」の途上にある。
●間もなく退役予定のマレン統合参謀本部議長も、統合の観点で取り組む必要を強調して来たところ。4軍のトップを集め、「これから困難な時期を迎えるが、我々は共に歩まなければならない。互いにナイフを突きつけるようなことをするな」と指示している。
●削減が予想される予算で何をやるのかと問われれば、我々が今やっていることを低いの能力でやる、と答えざるを得ない。全ての任務で懐の深さが減るのである。
Air-Sea Battleを巡る海空の相違
●Air-Sea Battleコンセプトさうていを巡る議論で、海軍関係者は「艦載の航空アセットは残存性が高いが、陸上航空戦力は脆弱だ」と主張する。更に「嘉手納の滑走路は簡単に破壊されるが、空母は自由に移動できる」と言う。
●しかし我々(空軍協会主催の朝食会参加者)は、その主張が絶対でないことを知っている。空母も陸上飛行場も共に脆弱性を持っていのだ。
●我々が空母の航空アセットを頼りにすることもあろうが、海軍が陸上発進の航空アセットを頼りにすることも無数にあり得るはずだ。
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Air-Sea Battleを巡る海空間の調整が難航しているとの噂が各方面から聞こえてきていたのですが、米空軍司令部の担当部長が公の場所で言及するぐらいに「根本的な考え方の食い違い」が解消できないのでしょう。
考え方の差と言うよりも、組織防衛本能の戦いと言った方が適当かも知れません。ナイフは抜いて突きつけていないけれど、鞘に入れたまま互いにちらつかせている・・・様な状態でしょうか
ところでこのカーライル空軍中将は、昨年12月まで西太平洋地域の米空軍作戦を指揮する第13空軍司令官(司令部ハワイ)でした。中国の脅威を熟知し、Air-Sea Battle検討に当初から関わっていた高級幹部の発言だけに、より意味深です。
「CSBA中国対処構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29