国防省調達制度は改善

carterashton.jpg13日、下院の国防予算小委員会に出席したカーター国防次官(取得技術兵站担当)が、「国家予算を巡る激論(削減先)の回答は国防省にはない」と強気の論陣を張り、国防省は既に取得調達制度を進め、真に必要な性能を持った装備品を迅速にかつ効率的に取得できる方向に大きく前進したと語りました。
また、今後5年間は国家予算の伸びを認めないとするオバマ大統領の方針に沿った改革に国防省は既に乗っており、「特に国防省内でも、調達取得分野に(削減先の)回答は存在しない」とも言い切りました。
2012年度予算案における削減努力として
carterash3.jpg●見込まれていた7兆円の増加分をカット。これにはF-35計画の見直し削減3千億円の装備調達削減が含まれている。
●国防省は投資が適切な成果を生んでいないと判断した分野を断腸の思いでカットする決定を行った。これには、F-35の第2エンジン開発経費(毎日9千万円を浪費していた)と海兵隊のEFV(Expeditionary fighting vehicle:仮に継続していれば、20年間で海兵隊調達予算の半分以上にふくらむ恐れがあった)の中断を含む。
国防省は以下で調達改革を実現中
CarterAsh.jpg●2月に機種選定が終了した新空中給油機KC-46Aの契約は、如何に経費の膨張を避けつつ納期を厳守させるかを追求したもの
●今後打ち上げ予定の2つの高周波通信衛星は、コスト削減と将来拡張性を確保し、かつ技術的リスクを抑えたもの
オハイオ級戦略原潜の後継は、要求性能を厳選精査し、当初計画からコストを16%削減した。
このようなコスト精査策は、軍需産業の言いなりでなく、幾らで出来るべきとの見積もりに基づいて実行できる。これにより、年間17兆円に上る国防省の調達予算を精査する。
この施策推進のため、ゲーツ長官は例外的に約1万人の調達関連職員体制を構築したいと考えており、関連予算680億円を要求している。これは全体の削減のための必要経費であり、ご理解いただきたい。
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carterash2.jpgF-35の第2エンジン問題はいまだに尾を引いているようですが、カーター次官の元気なご様子に安心いたしました。
KC-Xも敗者側がゴタゴタに持ち込まない判断をするなど、調達改革分野は苦しみながらも前進を見せています。しかし・・・恐らくゲーツ長官退任後の巻き返しを狙っている輩が山のようにいるでしょうから・・・。
「14兆円精査案で政府議会と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07
「国防省コストカット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「ゲーツの取得開発改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17

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