イスラエルのBMDシステム(Arrow)

arrow_israel.jpg22日、イスラエルはカリフォルニアの米海軍試験場で、米国との共同出資で能力向上研究(Arrow System Improvement Program (ASIP))を行っているアローミサイルが迎撃試験に成功したと発表しました。
試験対象はArrow2ミサイルのBlock 4バージョンで、改良したソフトウェアで目標探知能力の向上度合いを確認したようです。夜間に発射・迎撃試験が行われたようで、23日付「Defense News」の記事は「夜空を照らすスペクタクルな直撃での要撃」と表現しています。
本日は、イスラエルのBMDシステムArrowを勉強いたしましょう。ネット情報の集約ですのでいい加減な部分もありますが、大筋の理解にご活用下さい
システム概要
迎撃ミサイルには、試験開発品のArrow-1、現在運用中のArrow-2、高々度迎撃用で開発中のArrow-3
目標捜索追随レーダーは、Green Pine
システム統制装置は、Citron Tree
米イスラエルの共同出資開発の経緯
arrowISR.jpg●1986年
米イスラエルが共同出資で開発開始。イスラエル国防省、米ミサイル防衛庁、IAI、ボーイングが主導
89-07年の間に開発費が2000億円程度($2.4billion?少ない?) その5-8割を米国が負担と言われる
●1992年
湾岸戦争で当時とパトリオットミサイルの信用性に議論白熱。開発に拍車。中東アラブ国に弾道ミサイルの拡散が加速し、懸念強まる
●1994年
試験開発品のArrow-1が9回目の試験でシステム全体での迎撃試験に成功
しかし、批判も多数・・例えば、コスト高、技術不足で開発には2010年まで必要、相手が回避技術をすぐ準備する等々。またBC兵器はともかく、N兵器には効果無しとの論も。
●2000年
5月に配備型のArrow-2が完成し、10月に部隊が運用開始。世界初の弾道ミサイル迎撃専門のミサイル部隊
●2003年
Arrow-2のBlock 2の開発本格化。連続要撃ミサイル発射試験を高度60kmの目標で実施
●2004年
Arrow-2のBlock 2が、米国内で実際のスカッドB(射程300km)を目標に迎撃成功。しかし別のテストで分離弾頭の迎撃試験は不成功
●2005年
パトリオットシステムとの連接射撃に成功
●2007年
arrowisGP.jpgArrow-2のBlock 3の開発本格化。複数のアロー部隊をネットワーク(Link-16)で連接して発射試験成功
開発責任者が「中東地域の全ての弾道ミサイルに対処可能になった」と発言。イランとシリアを念頭の発言。
●2008-09年
Arrow-2のBlock 4開発本格化スカッドC/D及びイランのシャハーブ3を意識した新模擬目標での試験開始。多弾頭目標対処試験を開始
2009年4月に新模擬目標の迎撃試験成功
2009年10月、射程1000kmの模擬目標を米軍C-17輸送機から発射しての試験。システム不具合で不成功
●2011年2月
Arrow-2のBlock 4の試験 海上発射の模擬目標を直撃で破壊
Arrow-3:高々度迎撃用で開発中
2008年に米イスラエル共同出資で開発スタート
●開発の狙い
中距離弾道ミサイル対処を念頭に高度100km以上での迎撃
大気圏外での迎撃(対衛星兵器への利用も可
無人機搭載の電光センサーも使用
艦艇からの発射
2014-15年の配備を目指す
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Arrow_missile.jpg米国が中心となって日本も開発に協力しているパトリオットシステムとの比較が出来ればいいのですが、その関係も含めよく分かりません
米国はアローの技術を当然自身のシステムにも活用していると思うのですが・・・
とりあえずイスラエルは、射程3000kmと言われるイランのシャハーブ3弾道ミサイルの迎撃を確実にしたいと考えているのでしょうか・・・。
米では、オバマ大統領が効果と能力をよく検証してから量産にはいるようにと指示しており、ペトリオットやSM3の試験が数多く実施されているようです。

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