2010年太平洋軍の演習

spear02.jpg中国の急激な軍事力近代化により最近何かと注目を集める太平洋軍ですが、先日マレン統合参謀本部議長により発表された「国家軍事戦略」や最近の米国防省の予算見直しでも、欧州軍を削減の一方で太平洋軍の充実(分散配置で。豪やシンガポール等を念頭か)を臭わせる表現が増えてきています。
そんな中、2月号のAirForce Magazineが「Sharpening the Spear(槍の穂先を磨く)」との記事を掲載し、米軍地域コマンドの中で最も広大な地域を担当する大平洋軍が、域内の国と様々な訓練に取り組んでいる様子を紹介しています。
本日は記事内のコラム「An Unrelenting Exercise Schedule(気の緩む事なき演習日程)」に描かれた、昨年1年間の太平洋軍の主要訓練を月別にご紹介します。
●1月は記述無し
正月や旧正月の関係から演習が計画しにくいのでしょう・・
●2月はCope North Guam
日本の築城基地からF-2戦闘機等がグアムのアンダーセン基地に飛来し、米空軍や米海軍機と訓練した。
「グアムの空で美しい編隊飛行」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-18
●3月はCope Tiger
タイの空軍基地(Udon Thani)で、韓国のオーサン基地から飛来のA-10とタイ及びシンガポール航空機が訓練
●4月はCope West
世界最大のイスラム国インドネシアのハリム空軍基地で画期的な訓練。同国との軍事関係強化の第一歩。同国との軍事関係は、Air-Sea Battle構想のため米国防省が政府や国務省を説得して第一歩を踏み出したと言われている。
「インドネシアと関係強化」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-23
●5月もタイでOperation Pacific Angel
人道復興支援訓練。タイでタイとカンボジアと米軍が共に訓練
●6月は他のPacific AngelとRIMPAC準備
5月と同様の人道訓練Operation Pacific Angelをバングラデッシュとベトナムでそれぞれ実施
また、世界最大の海軍演習RIMPAC(Rim of the Pacific)の準備訓練を各地で
●7月はRim of the PacificとF-22の韓国展開
LassenUSS.jpgRIMPACにはアジアを中心に14カ国が参加。艦船32、航空機170、潜水艦5、そして約2万人の各国兵士が参加。ハワイ周辺海域で着上陸、艦艇防空、射撃訓練等を実施
これとは別に、Invincible Spirit演習でF-22が初めて韓国へ展開
●8月には医療関連演習
スリランカで演習。米空軍、モンゴル、モルディブ、スリランカ軍が参加
●9月はValiant Shield
グアム島周辺地域で米海軍海兵隊と空軍が、同盟国やパートナー国に属する西太平洋の島々防衛作戦計画を検証した。
●10月は韓国と豪で
韓国ではMax Thunder。アラスカから飛来した米空軍アグレッサー飛行隊のF-16が、米空軍と韓国空軍のF-15やF-16と訓練。
豪ではExercise Hamel。グアム島から長距離爆撃訓練のため飛来したB-52が、最終的に豪軍の地上管制官の誘導でCASを実施。
「グアムB-52が核任務訓練」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-09
「B-52が長距離近接航空支援を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-09-26-1
●11月は記述無し
12月は日本でKeen Sword
米軍1万人、自衛隊3万人が参加。米側は13空軍司令官が指揮。訓練では、統合防空、ミサイル防衛、海上阻止、基地防衛、戦場捜索救難の訓練等が実施
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spear05.jpg上記はほんの一部分だと思います。例えば、Cobra Gold演習など1万人以上が参加する総合演習も抜けていますから・・・。
同記事は、2011年には146の訓練が計画されており、今後その数は増えるだろうと予想しています。
米軍の若手士官の間には、装備品のレベルの差等から「イライラ」する者がいるようですが、多様な文化習慣の国々と訓練することは米軍の適応性を高める上で極めて有効と見られているようです。

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