誰がサイバー攻撃に対応するのか

mueller_clapper_panetta.jpg14日にオバマ大統領が2012年度予算案を議会に提出するのに向け、米国防省や国防関係者の緊張が高まりつつあります。また、予算案を審議する側の議会も、各種委員会に関係者を呼んで勉強に余念がないようです。
(写真は左からFBI,DNI,CIA長官
10日には、下院の情報委員会(House Intelligence Committee)にミューラーFBI長官、パネッタCIA長官、クラッパー国家情報長官DNIがそろって登場し、多様な脅威や情報の扱いについて語ったようです。
本日はその中から、11日付「Defense News」が伝えるサイバー攻撃対処の課題に関する部分を、11日下院軍事委員会での関係者の証言とあわせてご紹介します。
ムーラーFBI長官(Robert Mueller)は・・
我々は一般的に、誰がそれを引き起こしたのか?、によって事象を捕らえようとする。国家主体によるモノか、国家主体に支援された個人グループか、近所の高校生のいたずらかを明らかにしようとするが、サイバー攻撃の場合はその犯人を探知することが極めて難しく、我々の対応を困難にしている。
NERC北米電力安定供給会社CEO(Gerry Cauley)
CauleyNERC.jpg●我が社は北米の電力送電網の安定運用に責任を有するが、そのインフラはサイバー攻撃に対して極めて脆弱である。しかし、サイバー攻撃対処について、政府と軍と民間企業がどのように責任分担するのかが不明確である。
民間企業はサイバー攻撃の問題について十分な情報を保有しておらず、政府よりいつも後手に回っている。脅威があると警告されるばかりで、具体的な情報提供が極めて少ない民間企業はこれを不満に感じており、対策も不十分である。
●これへの対策として、国防省や国土安全保障省との覚え書きを締結して情報の相互提供を図ってる。
シンクタンク研究者(Gregory Nojeim)
緊要な社会インフラの85%は民間が所有して運用しているので、政府がこれらを保護しようとする際に問題が生じている。
●政府の権力を拡大して私企業のプライバシーや技術革新を妨げるような法制が整備されることに強く反対する。政府は私企業の情報を収集する権力を強化するばかりでなく、私企業との情報共有を促進することで私企業の対処能力向上を促進すべきである。
ソーンベリー下院議員(新たな脅威委員会委員長)
●サイバー攻撃が、嫌がらせか、犯罪か、国家的脅威なのかを判別できれば、どの政府機関がどのような対処をすべきかが明らかになることを、議会は理解する必要がある。
パネッタCIA長官(Leon Panetta)は・・・
●(サイバードメインは)将来の主戦場となろう。次の真珠湾攻撃はサイバー攻撃である可能性が高いであろう。
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cyber01.jpg他に対テロについても3巨塔が語ったようですが、関連報道はサイバー関連が突出しています。
宇宙とサイバー・・・14日に蓋が開く予算案でも、この分野が注目を集めることになるでしょう。特に空軍予算の柱の一つとして。
サイバー戦関連
「サイバー、国家への警鐘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
「サイバー戦略5本の柱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20-1
「前半サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-01
「後半サイバーと宇宙演習の教訓」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-02
「誰がサイバー攻撃に対応するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-12
「完全でない環境で訓練を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-02-10-1
「米空軍サイバーに取り組む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-07-1
「米サイバーコマンド道遠し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-16

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