本件に関し、国防省HPが特集ページを開設しました。職員に「経費削減案」の提案をもとめるバナーリンクもあります。
→ http://www.defense.gov/home/features/2010/0810_effinit/
9日記者会見を行ったゲーツ長官は、自らが宣言している「5年間で9兆円の経費節減」と節減経費分の「現在と将来の戦いへの充当」のための実施策に言及しました。
その方向性は、自らが経費削減案検討を委託した国防業務諮問会議(The Defense Business Board)が先月22日に公表した初度レポートに沿ったものとなっています。
「11万人削減案を長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26
またゲーツ長官は会見で、「節約の文化を国防省全体に浸透させたい」と語り、今後前国防省職員に「オンラインで経費削減案を募集し、優秀な提案には報償を与える」と述べました。
会見で表明された削減案は挑戦的で・・・例えば
●議会が強固に反対している基地の廃止統合検討
●JFCOMの廃止
●2年間で、将軍級の軍人最低50ポスト、文民最低150ポスト格下げ
●部外委託職員(Contractor)の経費を今後3年間10%削減
基地の統廃合に関しゲーツ長官は、「困難ではあるが不可能ではない。議会が不要なコスト削減のために共に働いてくれることを望む」と早くもやんわり宣戦布告を行いました。
JFCOMの廃止には、「イラクやアフガンでの作戦を通じ、統合の必要性は十分に理解されつつある。それよりも今では、2800人の組織と3000人の部外契約業者が他と重複しており無駄である」とばっさり切り捨てました。
更に「軍用犬をアフガンに送るのに、5人もの4星将軍のサインが必要だそうだが、JFCOM司令官はその一人」と追い打ちをかけました。
このほか会見で明らかにされた経費削減策は・・・
●国防長官室、国防関連機関、戦闘コマンドの人員を、今後3年間は2010年レベルに凍結する。そして必要な人員、ポストとその階級をを精査する。
●各基地や司令部毎に保有するITシステムが大きな無駄。共通のシステムによる経費削減
●国防省が作成する報告書の数量の凍結。報告書作成経費の25%即時削減
●国防省の検討会議や諮問会議の見直し・廃止。同会議用経費を25%削減
●インテリジェンス関連の顧問や外部契約経費の即時10%削減。上級職員数の凍結。更に「11月1日までに、国防省関連の全てのインテル関連組織、任務、外部契約のゼロベースでの見直し」
●以下の国防省部署廃止
The offices of the assistant secretary of defense for network integrationとThe Joint Staff’s section for command, control, communications, and computer systemsの廃止統合
The Business Transformation Agency. The agency – with 360 people and a budget of $340 million
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夏の休暇期間直前での会見は、「休み中に節約アイディアを出せ」、又は「休み期間に身の振り方を考えろ」とのタイミングでしょうか・・・。
このようなドラスティックな削減案を打ち出せるところが米国の強みでしょうが、それにしてもやりますねぇ・・・。今後さらに、選挙民と選挙区経済を背負った議員との対決が深まるでしょう。
(経費捻出関連の過去記事)
「前線兵士と将来へ9兆円捻出」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「国防省コストカット」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「更なる削減案で空軍激論」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-25
「ゲーツ長官が国防省にも宣戦布告」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-03
(関連記事)
「ゲーツ改革のまとめと整理」http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
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