13日、ゲーツ国防長官とナポリターノ国土安全保障長官との連名で「国防省と国土安全保障省のサイバー安全保障業務に関する覚書」締結の声明が発表され、「.mil」と「.com」の世界が協力し、新たなサイバードメインに取り組む米国の強い決意と姿勢を内外に示したことは先日記事「NATO改革推進push」でご紹介しました。
本件に関するフォローアップ会見が米国防省相の担当次官補代理によって20日行われました。これまでご紹介してきたサイバーを取り巻く課題と重なる部分もありますが、今月10月は米国の「サイバーセキュリティー月間」でもありご紹介します。
更に日本の位置取りが全く不明で、かつ重要な分野ですので、しつこくフォローしておきます。
Robert Butler(deputy assistant secretary of defense for cyber policy)による会見の国防省HP記事とDODBuzz記事はこちら
バトラー次官補代理は軍事プレスとの会見で・・・
●過去14ヶ月に渡りサイバーコマンドの立ち上げや発展に取り組んできたが、同時に戦略や政策についても取り組んできた。今年末までには、サイバー国家防衛戦略が完成するだろう。
●(その戦略の中では)これまで取り組んできた教育訓練のほかに、能動的な防御、新たな視点の抗たん性強化、新たな作戦様相等の新たな作戦コンセプトが求められる。
●国防省は、英国、豪国、カナダとNATOとサイバー脅威の防護について協議を始めている。これらの国等とはサイバー領域の情勢認識や脅威の共有、そして共同対処についてパートナーシップを構築することに取り組んでいる。アフガンやイラクでの作戦を通じ、国際協力が急速に進んでいる。
●この新たなサイバードメインでは、サイバー攻撃の定義や誰が何に何時対応するかを含め、ホワイトハウスが音頭を取って、政府も民間も一緒になって検討している。国土安全保障省が米国内をリードする事は明白だが、軍事ネットワークを担当する国防省が必要時は国土安全保障省や民間機関を支援するのは当然の責務である。
●誰が何を何時に関し、国防省は一案をまとめたが、これについても国としての共通認識が必要である。それには、敵対の意図や敵対行為と言った言葉の定義も含まれる。
●本年8月末、米国政府機関や民間機関のほか、他国も加わって「Cyber Storm3」との演習(国土安全保障省主催)を行い、国防省にとって有用な膨大な教訓を得たところである。
●覚書きとあわせて検討推進の政府支持も得ており、我々の案をたたき台に議論を深めていきたい。
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この会見に関する「DODBuzz」のコメントは
●記者からの「サイバー領域での戦争行為とは何を指すのか」、「どのように対応するのか」、また「どのような条件で、サイバー攻撃を宣戦布告と判断するのか」との質問に対し、バトラー氏は明確に答えなかった。
●また、米国がサイバー攻撃を仕掛けるかどうかについても同次官補代理は回答を避けた。
●同氏の会見やリン副長官の発言からすると、国防省はサイバー防衛と作戦遂行時のネットワーク保全にまず重点を置いているように感じた。
●これまでの戦争ドメインと異なり、誰がどこから攻撃を仕掛けているのかが明確に出来ないサイバー攻撃への対応は極めて複雑なものとなる。
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日本対しても恐らく、サイバー情勢認識や警報の共有について米から働きかけがあったものと思いますが、省庁間の縦割りと政府の強力な指導力により、「棚上げ」「返答無し」状態になっているモノと考えられます。
この問題を取り上げる日本のメディアもなく・・・
『サイバー戦関連記事』
「サイバー司令官、国家への警鐘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
「サイバー戦略5本の柱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20-1
「米空軍サイバーに取り組む2」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-07-1
「米サイバーコマンド道遠し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-16
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