米が豪との国防関係強化へ

「我々はアジア太平洋地域に新たな基地を求めることには関心がない。むしろ、どのように既存の基地を有効に使用し、使用法を強化するかに着目している」(8日ゲーツ国防長官)
gatesOG1108.jpg8日、米と豪はメルボルンで2+2ミーティング(外相と国防相の計4者の会議)を行い、ゲーツ長官は豪国防省と新たなパートナーシップ協定を結んだと発表しました。
新たな関係構築に向けての具体的枠組みは米国防省HP記事からは必ずしも明確ではありませんが、大きく3つ、つまり豪への新たな戦力配備検討、宇宙監視協力及びサイバー分野協力が含まれているようです。サイバーについては細部の言及がありませんが・・・
新作業グループでの戦力配備検討
●12月から検討を開始。両国の統合活動の多様な分野における強化を探るもの。
●作業グループの検討対象には、米海軍戦力のプレゼンス増強と周辺地域への訪問強化、両国間の軍事訓練機会の増加、災害対処や人道支援物資や機材の事前集積、更には豪軍関係者と協議する米軍関係者の豪常駐の検討が含まれている。
●ゲーツ長官は「公式に何を両国でなすかについては何も決まっていない。軍事の観点から両国の為になることを検討していく。」と慎重に述べました。
●同時にゲーツ長官は軍事記者に「(米国の)戦力組成について、どのような体制を国家安全保障会議に提言するかは未定である。しかし、アジア太平洋地域により大きなプレゼンスを置くことは明らかだ」と述べ、更に冒頭の表現で既存基地の強化等に言及しました。
宇宙状況認識パートナー
Space Situational Awareness Partnership
●アジア太平洋地域上空の宇宙に存在する衛星や各種破片を監視するするためのレーダーや光学監視サイトの共同設置とネットワーク化
●同ネットワークにより、共同で宇宙における様々な活動(計画的、偶発的、事故的なもの全体)をモニターする。
●ゲーツ長官は「両国は、ますます相互依存(interdependent)が進み、混雑(congested)し、脅威が増している(contested)宇宙空間への懸念を共有する。そして宇宙での過ちや誤解、相互不信を招くような行為を防止しなければならない点で一致した」と述べています。
gatesOG2.jpgサイバー関連
サイバー空間における協力関係をステップアップする。この取り組みには、サイバー空間に関する国際的な基準やルール(norms)を設定する努力が含まれる。
クリントン国務長官は・・・
我々はこれまでと違った何かを特別なレベルで行っているのではない。我々は単に、将来に必要とされる行動のストックに勤めているだけである。(以上記事概要)
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米海軍のプレゼンスの強化や事前集積の強化は、明らかに「Air-Sea Battle Concept」の背景となる西太平洋地域の米軍の拠点の少なさや補給路の脆弱性をカバーする施策でしょう。
また、冒頭の「既存の基地の有効使用」は脆弱性の克服であり、なるべく多くの作戦基盤を現状の基地を強化することで整備したいとの意志の表れでしょう。
次の訪問先のマレーシアで何が出るかにも注目したいと思います。
「CSBA中国対処構想」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-18
「(6)CSBA中国対処構想」→ http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-24

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