27日付「DoDBuzz」が2010年の米軍事関連10大ニュースを選定しています。昨日紹介した第10位から第6位までに引き続き、大晦日の本日は2010年最後の記事として、第5位から第1位までをご紹介します。
昨日はまだ政策的な話題も多かったのですが、本日は厳しい予算を背景としたモノが中心です。大晦日に盛り下がる話題で恐縮です。
第5位:F-35をめぐる動き
●開発管理者の海兵隊少将が更迭され、海軍中将にグレードアップ。開発遅延の責任を問い、ロッキードに制裁金。カーター国防次官による開発計画の再見直しにより、約1年遅れの新計画と価格の見直しが行われる。
●ただし、これで落ち着くとは思われず、Technical Baseline Reviewの結果により更なる計画遅延と価格高騰の可能性が予期されている。
「F-35の大幅削減提言へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-12
「飴付きF-35の新契約」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-25-1
「戦術核を搭載するか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-06
「新責任者は海軍から」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-25
「映像:垂直離着陸型」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-12
「ソフト開発がネック」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-11
第4位:英国防予算の大幅削減
●英国新政権が打ち出した超緊縮財政方針により、国防費も大幅にカットされる方向にある。種々の影響がある中、共同開発分野での影響が大きな懸念
●例えば、英国はF-35の垂直離着陸型であるF-35Bを約140機購入する予定であったが、これをキャンセルして大幅に少ない空母搭載型のF-35Cの購入に変更したと言われている。
「英空軍20年までに戦闘機半減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「英国も国防省改革」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-08-16-1
第3位:財政健全派が国防費も標的に
●秋の中間選挙で当選した「茶会」派議員を含む財政健全化を求めるグループやホワイトハウスは、戦時を理由に国防費の維持を求める国防省にも厳しい予算削減を求めている。
●オバマ大統領指名の負債削減委員会は、向こう5年間で8兆から6兆5千億円の予算削減を国防省に求める模様。削減案には、開発に課題の多い垂直離着陸型F-35Bや海兵隊の水陸両用車両などの大型プロジェクトが含まれており、ここ数ヶ月の攻防が注目される。
関連記事→http://www.defensenews.com/story.php?i=5297880&c=AME&s=TOP
第2位:アフガニスタン情勢
●マクリスタル司令官の解任とペトレイアス大将の格下ポストへの就任。無人機による誤爆やパキスタン領内での活動。3万人の増派の完了。2014年末までには戦闘任務を終了し、米国戦闘部隊も同時期までに撤収する計画をNATO首脳会議で合意した模様。
●一方で、戦闘部隊の撤退後も、アフガン軍の訓練などのため数万人規模の部隊は駐留を継続する。
●帰還兵の問題や自殺者の増加など・・米社会全体に影響を与える最も短期的に大きな課題
「NATOリスボン会議」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-18
茂田宏氏のブログ→http://blogs.yahoo.co.jp/kokusaijoho_center/36764336.html
第1位:ゲーツ長官主導の9兆円削減・充当計画
●ゲーツ長官が6月に打ち出したもの。米軍事力を維持するに必要な分野への年2-3%の実質予算増を維持するため、無駄経費を今後5年間で約9兆円削減し、必要な部門に充当することを目指す。
●人件費、外注委託費、将官級ポストの削減、問題の多い開発計画の中止等々・・・大胆な経費削減策を国防省独自に主導。
●しかし第3位に挙げた米国政府や議会からの削減要求が、これを上回る規模で要求される状況になりつつある。最近ゲーツ長官が公の場に姿を見せないのはこのためか・・・。
「ゲーツの取得開発改革指針」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-15-1
「ゲーツ改革のまとめ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-17
「ゲーツ長官が国防省にも宣戦布告」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-09
「アイゼンハワー・ライブラリ演説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-05-11
「11万人削減案を長官へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-26
「国防省コストカット」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-30-1
「兵士と将来に9兆円捻出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
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年明け早々は、予算縮減を巡る、議会とホワイトハウスVS国防省の構図になるのでしょうか・・・
少しは夢のある話が聞きたいモノです・・・。日本も財政の話からすればこれくらい大変な筈なんですが・・・・。
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