昨日に引き続き、12月号の「Airforce Magazine」が掲載している「Personnel Recovery, in Need of Rescue」(人命救助任務に助けが必要なとき)との記事をご紹介します。
アフガンやイラクでの厳しい任務を与えられながら、ゲーツ国防長官による改革や予算見直しを受け、苦悩する米空軍の最前線レスキュー部隊(以下RQ部隊)の様子を、本日は新レスキューヘリ導入への取り組みの視点からお伝えします。
なおRQ部隊とは、前線の負傷者や撃墜され脱出したパイロットを、敵の攻撃の中から救出する部隊です。
記事の後半の概要は・・・
(新機首選定の混乱と次期救難機調達の見通し)
●2006年11月、米空軍はCSAR-Xの機種選定を行い、ボーイングのHH-47(チヌークの派生型)に決定した。しかし競争相手が政府機関に抗議し、空軍は最選定を行うことになった。混乱の中でも当時の空軍参謀総長は「士気及び倫理面から必要欠くべからざる任務」とCSARを位置づけて計画を推進した。
●機種選定のやり直しの結果は、2009年の春から夏に決定される計画であったが、2008年後半頃から、国防省がCSAR-Xの要求を批判し始め、CSAR-Xに疑問を呈し始める。
●2009年4月6日、俗に「ブラックマンデー」と言われるこの日、2010年度予算案を発表したゲーツ国防長官は、その中でCSAR-X計画の中止を発表し「単一軍種のみで解決しようとしている」と計画を非難した。
●現在米空軍は、とりあえず入手可能な機体に必要な装備を後付けして、少なくともHH-60の不足分を補おうとしている。シコルスキーのH-60Mを4機購入したのがこれに当たる。これに、空中給油装置、ホイスト、コックピット改修、リンク機能等を搭載する。しかし希望的に見てもこれらの措置には2-3年が必要である。
●これとは別に新たな機体を求め、10月20日に空軍が産業界に情報提供を求める文書を発出した。4機の教育用と4機の実戦用のへりを2015年9月末までに納入することが内容に含まれている。
●空軍参謀総長はHH-60の延命を好ましくないと考えているようだが、新機種を早期に予算に組み込むことの困難から、早期の予算化も約束できないでいる。米空軍の調達優先は、タンカー、F-35,ISR装備、衛星通信、宇宙のミサイル早期警戒アセットに置かれている。
●ACCは2015年までの調達計画に、36機の新ヘリ導入を希望しているが予算のメドはない。最近、空軍のミッションリストからCSARの用語が消え、代わりに「Personnel recovery」が使用されるようになった。
●用語が代わっても任務の重要性は減るどころか増加している。また米空軍だけが組織的に組織し訓練しこの任務を実行している。
●ギルク大佐は、当面は機体の状況をつぶさに観察し、現場兵士の意見を良く聞き、何に対応すべきかを考えて対応していくほか無い、と語った。
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元の記事の概要のみを記述しましたが、その他にも機体に亀裂が入っている様子や生々しい作戦の状況を伝える記述もあり、現場の苦しい状況がよく描かれています。
最近の「Airforce Magazine」の記事は、過去の作戦の成功物語や予算削減の影響を受けて苦悩する前線部隊の様子を伝える記事が多いのですが、2012年度予算案決定に向け、今後部隊の窮状を訴える記事が増えるのかも知れません
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