NATOとのサイバー協力強化へ

昨年11月のNATOリスボンサミットで合意されたNATO内のサイバー戦対処態勢強化の方針に関し、リン国防副長官がNATO本部を訪れフォーローアップの協議を行っています。
25日にリン副長官が脅威認識について語ったところ・・
CyberLynn.jpg●6ヶ月前にはサイバー分野にどのような脅威があるかを議論していたが、今ではその種の話は少なく、どのように対応するかに重点が移っている。
●サイバー戦の脅威は知的財産の盗みや改ざんなどから、リトアニアやグルジアへのDOS攻撃レベルに達している。しかし我々はより発達した次の段階の成熟した脅威になる以前に対処態勢を整えなければならない。今NATOにその体制があるかと問われれば、無いと答えざるを得ない
●サイバー攻撃の定義についても議論した。NATO憲章の5条事態を適応出来るのはどのような状態かについてである。しかしそこで停滞しているわけではなく、広く脅威を対象にして議論を進めている。
今回の訪問間に行ったこと
CyberLynn2.jpg●第一段階はNATO自身のネットワークを防御することであり、NATOのサイバー事案対処センター(Cyber Incident Response Center)を働させる必要がある。リスボンでの合意であり、関係国の強い支持もあるので2012-2015年には稼働させる。予算面での懸念は残っているが。
●本件に関する中央集権的なメカニズムを確立したい。NATO全体の改革の方向性であるが、サイバー部門では特に重要
公的部門と私企業分野の両者が参加し、NATO欧州司令官が主催するサイバー対処の会議に出席し、この問題は航空作戦のように公的部門だけで対応出来る問題ではないことをお話しした
●また民間部門と公的部門が「パートナーとして協力」することを強調した。必ずしも公的部門の命令により行う性格のモノではないとの理解を、米議会おいてと同様に共有し相互に理解した。
●民間部門は優れた技術を持ち、公的部門は投資する材料を保有しているので、(プライバシーに関わる分野への強制介入ではなく)互いの理解に基づく協力が大きな成果を生むことを話した。
●当初、民間部門は情報共有を躊躇していたが、今はその価値を認識して対応が変化してきた。もちろん懸念が全て無くなったわけではないが、リラックスして話が出来るようになってきた。
●米国防省は米国ネットワークの防御に関して多くの重要な教訓を学んできており、それらをEUや欧州防衛庁(European Defense Agency)と共有することが出来る
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久々のサイバー戦の話題ですが・・・なかなか道は険しいようです。
リン副長官もゲーツ長官と共に国防省を去るのでしょうか・・・カーター国防次官やフロノイ次官は・・・
サイバー戦関連過去記事
「中国がネットの15%を乗取り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-17
「サイバー司令官、国家への警鐘」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-24-1
「サイバー戦略5本の柱」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-20-1
「米空軍サイバーに取り組む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-07-1
「米サイバーコマンド道遠し」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-16
「米サイバーコマンド準備中」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-03-17

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