これは日本も大いに参考にすべき。
台湾防衛の新戦略に関するスクープ記事・・・だそうです。
岡崎久彦氏が24日公開のブログ「世界の論調批評」で、共和党系シンクタンクAEIのDan Blumenthal氏のWSJ紙投稿記事(9月29日付)を紹介し、「目下ワシントンと台北が合同で策定しようとしている新台湾防衛戦略」について紹介しています。つまり「対称性の軍事力整備追求を放棄し、非対称の軍事力整備を追求」というモノらしいです。
台湾と日本では、地理的な位置取り、経済的重要性、国土の大きさ等々、いろいろな面で細部に違いがありますが、大陸国家に面した小さな島国である点では変わりなく、台湾に適応されようとしている「戦略」や「戦い方」は、日本も参考にせざるを得ないモノとまんぐーすは考えます
Dan Blumenthalの考え方は
●米国が台湾に対し、新型F-16戦闘機を提供しない決定を下したことにより、米国は中国に「拒否権を行使できる」ような印象を与えてしまった。
●しかしF-16のような「大物」の供与には無理にしても、やれることはまだある。それが、米国と台湾が共同作成中の「新台湾防衛戦略」である。
●これは、台湾は中国と等量等質の軍事力を持たねばならないという観念を捨てるもの、つまり対称性の追求を放棄し、「非対称」の軍事力整備を追求し、台湾軍を再編するものである。
●この戦略には巨艦や最新戦闘機は必要なく、中国のような「接近阻止」能力の獲得を目指し、台湾の周囲を機雷、潜水艦、高速攻撃船、高度の対空防備網、ミサイルなどで固めて台湾を城塞化する考え方。
●城塞防備のためには、地雷や火器、その他の殺傷兵器の活用と十分なストックが重要になり、陸軍の狙撃能力を高め、警防団的組織などを武装させることも必要になる。
●背景には、中国人民解放軍に地上部隊を台湾に上陸させて血なまぐさい戦いをする覚悟はないだろうという見積もりがある。
●であれば台湾は、ミサイル第一撃に耐える能力(survivability)を持つと同時に、中国軍が簡単には台湾周囲の領域は立ち入れないようにする接近阻止能力を持てばよく、さらに、万一上陸してきた中国軍に対しては、多量の流血を強いるような備えをしておけばよい
●従って、「非対称」な軍備を持つとともに、「確実な戦闘力(combat credibility)」、「残存能力(survivability)」の3つを備えることが重要。
●米国は「大物」の装備を売る必要に迫られないので、その分、中国の喧しい反発を招かずに済むという利点もある。
///////////////////////////////////////
Blumenthal氏の主張の他に、台湾はサイバー戦や特殊部隊による破壊工作なども当然主要な軍事的手段として考慮すべきでしょう(当然検討されていると思います)
中国は経済発展と共に、国家中枢、交通、通信、電力、水資源インフラ等々が極めて重要な社会基盤かつ弱点と成りつつあります。この辺りを確実に攻撃できる能力を保持し、その能力の存在をアピールできれば、有効な抑止力になると思われます。
少なくとも、脆弱な滑走路等のインフラに依存し、将来想定される戦いの中で出番の限定された戦闘機に投資を集中して思考停止に陥っている島国は参考にすべきでしょう。また、未だ海空の規模に比して大規模な戦力を組織防衛している島国陸軍は、贅肉を大胆にそぎ落とし、海空に資源を配分すべきです。専守防衛なる非現実的・非効率的な考え方も当然ながら・・・。
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29
「CNASレポート海空重視で」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-10