合意に至らず!強制予算削減発動へ

Failsupercommittee.jpg21日、Super Committeeは期限切れまで2日間の猶予を残しながら、「数ヶ月にわたり精力的に超党派の協議を続けてきたが、期限までに合意案を得ることは不可能との結論に至った」との声明を発表しました。
このままでは、米国防省には2023年までの間に既定の$450 billionに加え、更に$500 billionの予算削減が課せられることになります。
同日、下院軍事委員会のBuck McKeon委員長は・・・
McKeon.jpg●私はこの自動的な長期にわたる予算削減の実施阻止に立ち上がる。直ちに、自動削減措置を食い止める法案の導入に取り組む。国防省は既に十分な削減努力を行っており、これ以上の削減を行うべきではない。
●同時に、国防省の内部にも自動削減が開始される2013年1月までには検討の余裕があると考える者たちには警告を発する必要がある。
2013年から削減を開始するには、先行して種々の追加費用、例えば、一時的な給与支払い増加や調達キャンセルの違約金等々を、直ちに先行的に準備しなければならない
●仮に議会が自動強制削減の実施を延期する決定をするにしても、(すぐに手を打っておかなければ)一度閉鎖して人材が散逸した工場や造船所の再開はほぼ不可能である。
Defense Newsはこの発言に関し・・・
McKeon委員長だけでなく、上院のマケイン議員等、多くの議員が早急に手を打って国防省への打撃を避けなければならないと考えている。
McCain.jpgマケイン議員は、「我々は米国軍が空虚な軍と成らないよう、自動削減措置の影響を最小限にするためのプラン作成に取り組んでいる」と述べている。
●また、ホワイトハウスのJay Carney報道官は、「自動強制削減が良い方法でないことは明らかである。また強制措置による国防省の削減額は、我々が賢明と考える額を上回っている」と述べ、何らかの策を執る可能性を示唆している。
しかし、Super Committeeの機能不全は議会の機能不全を表す「鏡」であり、多くの関係者が現在の議会が有効な対応を取れるとは考えていない。
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多くの識者がコメントを発していますが、どうなるのかよく分かりません。
しかし典型的な官僚組織である米国防省は、少なくとも、多くの懸案事項の検討や決断を、予算不透明を理由に先送りすることに成るでしょう。改革や新たなコンセプトへの取り組みは、予算的裏付け不透明を理由に進まず・・・国際情勢や中国はその間に・・・
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以下は、パネッタ長官が訴えた自動強制削減の影響です。
15日付米国防省HP記事は、マケイン及びグラハムの両共和党上院議員への返答書簡の内容を紹介し、「F-35計画の中止」を含む甚大な影響について報じています。
パネッタ書簡は更なる削減の影響を・・
panettaLe.jpg●追加削減(Sequestrationの発動)となれば、国防省の投資や建設計画の23%相当が奪われることになる。
●更なる強制削減の影響は計り知れなく、F-35、次期爆撃機や次期ICBMの計画中止、更には陸軍の全ての戦闘車両近代化の中止を意味する。そして現有装備への最低限の維持施策と改修に止まらざるを得ない。
欧州でのミサイル防衛計画を中止し、同計画のためのISR施策も延期又は中止となるだろう。建造中の艦船や施設工事の3/4は継続実施が困難となる。これは軍の近代化に大きなダメージである。
●現在進行している戦いの中で兵員数をすぐに削減することは困難であることから、部隊を支援する契約業者の人数を削減せねばならない。シビリアン職員も削減の例外ではない。
panettaSASC2.jpg●追加の削減を強いられれば、10年後の米軍は、1940年以降で最小規模の陸軍、1915年以降で最小の艦船しか保有しない海軍と、史上最小規模の空軍と成っているだろう。
●国防省のニーズを切るリスクを許容する新たな国家安全保障戦略の構築を迫られるだろう。
「追加予算削減の致死的影響」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16
「予算削減の真の影響を言え!」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-07
「運命の傍観者たることを拒む」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-13-1
「パネッタ長官が使命感と信条を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-07

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