「走行距離24000kmの中古車を買うようなモノ」
13日付「Defense News」は、あと1-2週間ほどで、英海軍が予算削減のため強制退役させたハリアー戦闘攻撃機74機とエンジンや関連部品を、米海軍と海兵隊が全て買い取る契約が成立すると報じています。米軍は、保有ハリアーの延命とF-18Dホーネットの代替機として使用することを予定している模様です。
本件については、10日米海軍の担当少将もニューヨークでの会合で認める発言をしており、英国防省報道官も11日、まだ最終合意には至っていないが米海軍と話し合っていると述べています。
本日は、米軍事サイトが「極めて希なケース」と伝える米軍による外国の中古品装備購入についてご紹介します。
「Defense News」は・・・
●英軍は批判渦巻く中、昨年末に海空軍の全ハリアーと空母アークロイヤル等の引退を決定したばかりで、ハリアーは飛行可能な様に最低限の整備を施されて大部分が保管されている
●両国のハリアーは多くの共通点を持っている。同機はBritish Aerospace(今のBAE Systems)とMcDonnell Douglas(今はボーイング)によって共同開発され生産されたからである。翼部分は両企業がそれぞれに製造したが、前方部分は米国で生産され、胴体部分はコックピットも英国で生産された。
●英軍の保有するハリアーGR 9 and 9As型は、米軍ハリアーの1/3を占める米海兵隊のAV-8B night attack versionと似ている。9Aは海兵隊と同様のエンジンを搭載している。
●英国のハリアーは1980年から1995年に製造されたモノであり、今でも十分に使用できる。ハリアーの民間研究家は、走行距離24000kmの中古車を買うようなモノで問題はないとコメントしている。
●英国ハリアーはまず、老朽化が進むF-18Dの後継機として使用され、次に2025年までに退役するハリアーが、F-35Bに交代するまでをつなぐ。
●英国ハリアーは改修も必要だが、爆撃任務に必要なLitening II targeting podを使用できる能力を備えている。
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F-35開発の遅れがいろいろと影響しているようです。先日は海上自衛隊が、YS-11の後継に、とりあえず米海軍のC-130を購入するとのニュースもありましたが・・・。
しかし、両国のハリアーが兄弟関係にあるとは言え、そのまま購入して維持整備は大丈夫なのでしょうか・・・。いくらかの米軍操縦者は英軍ハリアーへの搭乗経験があるようですが。
それにしても「2年間の保護観察中」にある垂直離着陸型F-35Bまでつなぐためとは危ない綱渡り・・・・。
「英空軍2020年までに戦闘機半減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「映像:垂直離着陸型F-35B」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-07-12
「14兆円精査案で政府議会と」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07
「兵士と将来に9兆円捻出」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29