中国に関する論調をチェックの2回目で最後です。本日は軍事に関するモノを2つご紹介します。特に中国軍幹部の「血の気」を如何に抑えるかは、又は論理的でない突発的行動に如何に対応するかが、後々の外交的処理も含めて考えなければならない点かもしれません。
昨日に引き続き、両論とも岡崎久彦氏のブログよりです。米国の論文と岡崎氏の論評が混在していますので・・・。
血気盛んな中国将官に危険を理解させないと
●中国の動きに関しては、今後、北京で民族主義勢力と軍の力が強まるという悲観的解釈と、
●中国の経済発展を考えれば、軍拡と自己主張は不可避だが、エネルギー輸入に依存する中国経済は海上封鎖に対して脆弱であり、最近の中国による海軍力増強や南シナ海の領有権主張も、侵略的なものではなく、中国政府の用心深さの反映だ、と見る楽観的な解釈がある。
●しかし、いずれにしても、今後米中が相互に相手への脅威感を強め、「相手方が侵略的だとの認識」が深まるだろうことは、20世紀の歴史が示している、
●いずれにしても、米中間の偶発的衝突の可能性は、今後高まることはあっても、低下することはなく、この点はもはや米中関係に関する議論の焦点ではないでしょう。
●真の問題は、中国側、特に人民解放軍の血気盛んな将官たちに、こうした誤算が中国自身にとっていかに危険であるかをどうやって認識させるかです。
●対中政策を策定するにあたって最も悩ましい点ですが、それは20世紀の歴史の中に見出すしかないのでしょう。上げ潮の民族主義的感情に支配された軍隊を正しくコントロールすることがいかに難しいかは、20世紀の歴史が示している通りです。
////////////////////////////////////////////////////////////////////
台湾への新型F-16提供拒否を批判
●今回の台湾への新型機供与拒否の決定は、軍事的に致命的ではないが、台湾防衛という重要問題で対中考慮をしたという点で、台湾や地域諸国に大きな心理的影響を与えた。
●軍事力を強化する中国には対抗する必要があり、中国に配慮する必要はないし、すべきでもありません。さもないと、長期的には、力のバランスを中国有利にしてしまいます。
●新型機の提供で、中国が米国との軍関係を再度凍結する危険はありますが、相互の必要性の認識がない対話や関係は長続きしない。一時的中断があっても、中国側にそれを判らせるべき。
●日韓への海上路に対し台湾が持つ意味は大きく、望ましいのは、中国と海軍軍縮会議を設けることですが、軍拡路線を走る中国がそれに乗る可能性はあまりありません。
●この状況の中で、平和を維持するには、中国の軍事力に対抗して今あるバランスを維持する、又は急激に中国有利にならないようにするしかありません。米国も日本も財政難ですが、やるべきことの方向性はそういうことでしょう。
●新型機供与は米国に経済的利益でもあり、それを止めて中国の機嫌を取るやり方は間違っていますし、長期的政策目標と短期的政策目標のバランスもよく取れていないと言えます。
////////////////////////////////////////////
人民解放軍は中国共産党の軍だから・・・・との理由で、全ての軍の動きには政治的な背景があると考えるのは、最近の中国に関しては当てはまらないような気がします。
「RANDレポート:中国との紛争」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-20-1
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29
「中国J-20戦闘機は脅威なのか」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-09
「論争:中国空母は脅威か?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-28
「映像中国空母の建造状況」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-08
「映像中国ステルス機J-20分析」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-30
「石破茂・元防衛大臣の疑問」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-21