2025年の米海軍を語る

ProceedDec11.jpg12月号の海軍協会機関誌「Proceedings」が、米海軍トップであるグリーナート大将(Jonathan Greenert作戦部長CNO)の論文「Navy 2025: Forward Warfighters」を掲載し、厳しい財政状況の中、米海軍が今後海外に展開する艦艇や航空機の維持整備等に同盟国の大幅な支援増を期待していることが明らかにされています。
この論文について軍事情報サイトや一般の報道は、「対中国のため、シンガポールに新型艦艇LCSを数隻配備」の部分を取り上げて強調していますが、この部分は既に6月のシャングリラ・ダイアログで言及済みであり、注目すべきは同盟国への期待増の部分と考えます。
「米国の姿勢シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-01
論文「2025年の海軍前方展開戦力」さわり
greenertnavy2.jpg●海洋での航行の自由と法治状態の確保で世界の機先を制するために米海軍は、革新的なアプローチをとらなければならないだろう。
●わが国は外国に本格的な作戦基地を新設する財政的・外交的コストを負担できないと考えられるので、2025年には、展開中のわが軍の艦艇・航空機・人員が、給油・休養・補給・修理などでホスト国の港や施設に頼る度合いが強まるだろう
●米軍はシンガポールに最新艦艇LCS(littoral combat ship)を常駐させ、フィリピンやタイへの展開を強化するかもしれない
●また、米海軍は域内の同盟国であるフィリピンやタイ周辺で、開発中の対潜哨戒機P-8Aポセイドン(Poseidon)などの定期的な展開も強化するかもしれない
Greenertnavy.jpg湾岸のバーレーンが一つのモデルとなるだろう。米海軍第5艦隊の母港であるバーレーンは、アフガン、イラクやイランに近い都市国家のようであるからである。
●2025年には、米海軍は世界での前方展開体制をより経費を節減しつつ維持するため、バーレーンのような多くのパートナー国の港から作戦することになるだろう
●米海軍のプラットフォームは、2025年時点でも現在証明済みの装備を主に使用しているだろが、無人機や兵器の進歩により、より到達能力や制圧力が高く成るだろう
●同じく、電磁スペクトラムやサイバー分野での優位を維持しつつ、より組織的に戦いに供しうるような能力を獲得しているだろう
●また水中においても優勢を維持し、潜水艦能力の向上と共に、無人システムやセンサーの能力をネットワーク化させる
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LCSIndep2Free1.jpgオバマ大統領、国務長官そしてパネッタ国防長官もアジアを最近訪問し、厳しい経済状況下でもアジア地域からは撤退しないと明言し、オバマ大統領は「アフガンやイラクを終え、アジア太平洋地域での任務とプレゼンスを第一優先にするように、安全保障スタッフに指示している」と語っているところです。
しかし、やっぱり、無い袖は振れないわけで、誰が経費を負担するかの話がじわじわと進むモノと思います。
米海軍トップが「お手本」と讃えるバーレーンが、どれだけ米海軍の前方展開を財政的に支援しているか不明ですが、産油国ですから・・・
「パネッタ長官のアジアツアー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
「Toshi Yoshihara博士の来日」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-29
「豪が米豪中の海軍訓練計画へ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-24
「米海軍は日本から豪へ移動」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-29-2

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