4日、パネッタ国防長官とクリントン国務長官はミュンヘンで開催された安全保障会議に出席し、10名各国首脳や40人の国防や外務大臣を前に、米国の予算削減の影響や欧州の国防上の取り組みについて訴えました。
パネッタ長官は「欧州の多くの国がそうであるように、米国もまた財政的問題に直面している」と国防予算削減について語り始め、しかし小さくても能力が高く即応性を維持すると説明し、アジア太平洋と中東に焦点を置きつつも、サイバーや宇宙での新たな脅威にも対処し、世界でプレゼンスや対応能力を保つと述べています。
そして欧州諸国に国防費をこれ以上削減するな、と釘を刺しています。
パネッタ長官は具体的に・・・
●欧州米陸軍は2個戦闘旅団を減らし、現在の4.7万人から3.7万人に削減するが、一方で1個旅団が年2回欧州で展開訓練を行う。欧州米軍全体は8万人規模となる
●一方で、米国は欧州のミサイル防衛のため、ルーマニアとポーランドにミサイルを配備し、スペインのロタ島に4隻のミサイル防衛艦艇を配備する。
●また5機のRQ-4グローバルホーク無人ISR機や地上の管制施設を配置し、同盟国地上監視システムに大いに貢献する
●私はNATO諸国が「smart defense」構想の下に国防費を削減することを警戒している。構想が狙いとする、国家統合での軍事資源維持を進めるなら、米国と同様に現在と将来の能力に投資を続けるべきである。
●「smart defense」構想の下で、慎重に有効に投資を行う事が必要で、予算のこれ以上の削減の言い訳にするべきではない。5月にシカゴで開催予定のNATO首脳会議に向け、2020年のNATO軍構想は訓練の行き届いた能力ある部隊でなければならない
●NATOはアフガニスタンにおいて、ISAFの活動をアフガンの長期的成功のために支えなければならず、短期間にISAF勢力を削減してはならない
●ケネディー大統領は1962年にこの会議で、「米国はいつか再興なった欧州のパートナーとなるだろう。自由な国々の防衛と国家建設の課題に対し完全に平等な関係において」と訴えた。
●欧州NATOは、米国が世界の脅威に備えているように、準備を整え続けねばならない。
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昨年6月、退任直前のゲーツ前国防長官が、対リビア作戦であまり役に立たなかった欧州NATO諸国を酷評し、「NATOの2極化」と呼んで厳しく批判しましたが、パネッタ長官はすこし穏やかな言い振です。
しかし、ユーロを巡る最近の状況を見るに、国防費を増やしてる場合ではないでしょうね・・・。
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「警告する、NATOの2極化を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-12