前半ベテラン爆撃機をあと30年強

airseaBC.jpg3月号のAirforce-magazineが「Old Bombers, New Again」との記事を掲載し、大ベテランの域に達しつつある現有爆撃機(B-2,B-1,B-52)を今後30年以上現役として使用するが問題なし、との主張を展開しています。
次期爆撃機の部隊配備が2025年以降になる見積もりなので、各機種について語る製造会社の各機種担当責任者の話に嘘はないのでしょうが、予算削減の危機感を声高に訴えてきた空軍協会機関誌にしては冷静(不気味?)な態度です。
今後も長い付き合いになる各機種ですので、来た道や将来についてご紹介いたします。
空軍参謀本部戦略計画部長ミラー中将は・
MillerLTG.jpg●爆撃機の将来計画には3つの視点が必要。第1に機体の構造的強度と安全飛行要素の確保、第2に装備の更新による戦術適合性確保、第3に作戦全般のコンセプトとの整合がその3点である
●航空機の使用可能期間を予測することにはリスクがあるが、現有3機首各機体の使用可能期間は、我々が想定している運用期間を上回っている
●運用環境が厳しさを増す中、爆撃機はスタンドオフ兵器に頼る傾向にあるが、現場指揮官の要求に応えるためには、多様な装備や兵器を適切な割合でミックスすることがいつの時代も重要である
例えばB-1は当初核任務のみだったが、今では目標照準ポッドを搭載し、アフガンで誘導爆弾を投下している。B-52はベトナム戦時に高々度から爆弾を投下する役割だったが、アフガンでは近接航空支援を行っている
B-2爆撃機について
airsea05.jpg●1988年に飛行テストが始まり、97年から運用を開始。現在は2058年まで使用予定
●機体の多くが形成材で腐食が少なく、激しい機動のない運用なので機体への負担が少ないのが背景にある。またステルス形状や核任務対応のため厳密に細部までデザインされており、今後40年以上の使用が余裕で可能
●ただし、20機を保有しているが、常時3機程度が長期定期整備に入り、その他試験用や事故修理もあり、使用可能なのは14機程度
大きな課題は交換部品の確保である。20年以上前の構成品を確保するのは困難で、特にdefensive management system部品の不足が飛行不能の原因になることが多い。改修を進めている
●機体の改修等により、ステルス性維持のための機体表面の整備が飛躍的に改良され、大幅に整備時間が短縮されている。中には72時間の作業が1時間に減少した例も。
●最近、巨大貫通弾MOPの搭載が可能になったが、更に近い将来、内部回転式弾倉により多様な弾種の搭載が可能になる
将来は「作戦開始3日目や10日目」に出番の来るアセットになるかも知れないが、戦闘で証明済みの機体に間違いない
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B-1とB-52については次回ご紹介します
b61-b2.jpgB-2の維持費高騰が問題になっていたような記憶がありますが、今回の記事には全く記載がありません
まぁ・・それでも今後40年以上使用すると決めたようですから何とかなるのでしょう。後任者負担の問題隠蔽でないことを祈るばかりです
確認ですが、空軍は将来的に、多様な任務をこなせる多用途なアセットを追求する方針です。例え個々の分野の能力はほどほどでも、多様な機体を保有すると維持費が大変だからです。
「爆撃機による外交」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-04
「空軍は多機能アセットを」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-04-1
「次期爆撃機に有人型は不要」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-07-16-1
「序論:長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-25
「本1長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26
「本2長距離攻撃システム構想」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-26-1
「Balanced Strategyを再確認」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-11-27

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