2日付AF-magazineの「Daily Report」が、シュワルツ空軍参謀総長の発言を取り上げ、軍事費に関する考え方について話題を提供してくれています。
一つは次期爆撃機予算を巡る「敵に財政負担を強いる」国防政策の考え方、もう一つはF-35の配備基地数を削減して間接的経費を節減したいとの発言です。
もちろん、予算獲得目的の「あの手この手」の主張の一環ですが、必要な視点だと思いますのでご紹介します
次期爆撃機の狙いの一つ・・・
●(先週記者団に、)なぜ中国やイランが、莫大な国家予算をつぎ込んで防空網を構築しているのだろうか。中国は東部地域に、イランはある場所の周りに・・・。
●彼らは娯楽でやってるんじゃない。彼らは彼ら自身の脆弱性を感じ、そうしているのだ
●皆さんに理解いただきたいのは、彼らに脆弱性の感覚をもたらした一つの要素は、我が長距離攻撃能力である点である。
●ゆえに、遠方の目標を遠くから、敵の強固な防空網を突破する能力は米国が妥協できない能力なのである。これが次期爆撃機が重要で有り続ける証左である。
F-35配備基地数を減らしたい
●背景説明・・・
—米空軍の保有航空機数が減少し続けていることから、空軍は航空機等装備品を集約管理して効率的に維持したいと考えています。そのため空軍は、約10年前から空軍基地の閉鎖集約を計画していますが、これには議会の承認が必要です。
—しかし、選挙区から基地が無くなると雇用や税収や交付金が減るため、議員は様々な反対工作でこれを阻止し、2003年の検討時は装備品の再配備のみで、基地の削減は実現しませんでした。
—米空軍は今時の予算削減を受け、更に少なくとも200機以上の航空機と1万人を削減する計画を打ち出していますが、この一環として少なくとも2基地の閉鎖を要望しています。しかし前回と同様、議員の不毛な動きが起こり始めています(以上が背景説明)・
シュワルツ参謀総長は・・・
●私はF-35のライフサイクルコストに関し、依然として確かな自信を持っていない。しかし我々が管理できるコストもあり、精査が可能である。
●一つのF-35飛行隊に配備する機数を、24機か、30機か、36機にするかによって、大幅な経費節減が可能である。飛行隊当たりの機数を多くするほど、配備基地を減らすことができ、シミュレーター、関連インフラ、整備支援機材の購入数を減らすことが出来る
●当初F-35の配備既知数は約40基地であったが、現在は30代前半まで絞っている。飛行隊配備機数によっては、更に配備既知数を減らし、経費節減が可能である。空軍は部隊の配置再編ではなく、基地の閉鎖を要望する。
●外部委託経費についても継続精査中。特にF-35関連の委託経費は非常に高く、見直されるだろう。
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F-35の維持経費、ライフサイクルコストの見積もりが不確定・不確か・・と言う部分は衝撃的です。機種選定の前提は何だったんでしょうか! もう一つ言えば、米空軍でさえ飛行部隊編成の根本に立ち返って再検討している中、脳死状態の空軍がある点も強調しておくべきでしょう。
ただ今日のお題は専守防衛のコストです。
具体的数字で表現できませんが、兵器技術の拡散でますます攻撃側のコストが低下する中、日本は神学論争(最近は論争もありませんが・・)により、軍事的に勝ち目のない防御のみに多額の投資を行い、大陸の大国が喜ぶ無駄を継続中です。
専守防衛の方針は、防衛政策関係者や軍人の思考を停止させ、戦闘機重視やサイバー軽視、陸軍のあぐら、核や長距離ミサイル議論不毛の根元になっているとも思います。日本は防衛も籠城も困難な小国の島国です。身の程をわきまえないと・・・。
「石破茂・元防衛大臣の怒り」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-24
「防衛白書官僚の心情代弁」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-08-03-1
「災害を隠れ蓑にするな」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-31-1
「陸自削減:北岡氏を支持」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-04
「読売も社説:陸自削減を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-11-21