これは小さくても大きな一歩かも知れません
米軍の総航空機数の約4割が無人機になっている現状ですが、米国本土での無人機の飛行は飛行可能エリアが依然厳しく制限されており、何とか信頼感を醸成して飛行可能エリアを拡大し、例えば無人機用航空路を設定して米大陸横断等を可能にしたいとの希望を米軍は持っています。
そんな中、米空軍webサイトは、無人機MQ-9が通常飛行が許可されない空域で、カヤックで川下りの途中にGila National Forestで行方不明となった2名の捜索を行ったと大きく報じています。
Holloman空軍基地の報道によれば
●4月2日、第29攻撃飛行隊所属のMQ-9が、史上初めて州が実施する人命捜索救助を支援した。同飛行隊のジョナサン中佐は、無人機の長時間対空能力と搭載カメラでの捜索能力が人命救助に求められたのだ、と説明した。
●また、この捜索支援飛行は、無人機がFAA連邦航空局が規定した無人機用空域以外を飛行した初のケースでもあった。
●この複数機関の協力により遂行された捜索により、行方不明者は1~2時間で発見された。
●また同飛行隊のダスティン少佐は、「この本土上空飛行を可能にするため、多くの機関との協議調整が成された。当初警察が捜索を始めたが、その後ACC司令部から捜索の準備を命じられ、FAAの許可受領後ただちに支援実施に行動した」と振り返った
●ダスティン少佐は「無人機操縦者として、疑わしいエリアの捜索に全力を尽くした。通常の飛行空域以外で、重要な人道的任務の支援にも能力を発揮でき、大きな一歩を踏み出せたと考えている」とその意義を語った
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MQ-9の出動が警察や州からの要請に基づくものだったのか、空軍の提案だったのか、具体的にどのように役だったのか等々について米空軍webサイトは触れていません。米空軍ACC司令部は、以前からこのようなチャンスを伺っていたのかも知れません。
米国のように広大な国土を持てば、自然災害への無人機の応用はもっと進んで自然かと思いますが、それによって負の影響を受けかねない警察や国境警備隊等との縄張り争いもあるのでしょう。
先週ドンリー空軍長官は、予算的制約及び収集された情報の処理分析体制が追いつかないとして、当面無人機MQ-1/MQ-9の体制目標をCAPポイント65個で維持すると述べています。また次の85個への目標アップは、必要な操作員や分析官、更に周波数帯の確保が出来、必要が生じたら検討すると付け加えています。
「米無人機の再勉強」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-09-05
「米空軍無人機の将来前編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-27-1
「米空軍無人機の将来後編」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2009-12-28
「有人無人両用のISR機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-10
「暴露ビンラディン作戦細部」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-05-03
「なぜアフガンに無人ステルス機」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-01-28-1