レーザー兵器開発の動向

pawlikowskiLTG.jpg4月号のAFマガジンが「Laser Horizons」との記事を掲載し、主に空軍宇宙ミサイルセンター司令官のPawlikowski中将がレーザー兵器の現状と将来展望について、説明しています。
「いつまでたっても5年後に完成」と揶揄されるレーザー兵器の開発ですが、少なくとも航空機搭載への道はまだまだ長いようです。B-747搭載のBMD用のAirborne Laser(AL)計画が中断され、今後は地上で細々と「匍匐前進のような」基礎研究とB-1仮搭載を目指すようですが・・・
基礎的知識不足のため、訳や要約の仕方に自信がありませんが、勉強のためトライです。「Directed energy and laser weapons」はゲームを根本的に変える兵器だ、との記述もありますので。
地上配備のBMD用レーザー兵器については、ほとんど具体的な記述がありませんが、まだまだ確認や研究が必要な部分は多く残されているようです
レーザー兵器研究の経緯
Airborne Laser.jpg空軍は40年以上レーザー兵器の開発を続けてきており、B-747搭載のBMD用には16年間取り組んだ
●最終的には、敵領空外から弾道ミサイルを発見、追跡、レーザー発射、破壊出来ることを実証したが、あまりに高価で脆弱なB-747であったため作戦使用は非現実的だとされ開発中止になった。
C-130搭載のAdvanced Tactical Laserは、軽自動車やアンテナと言った脆弱な地上目標に有効だと確認されたが計画は終了した
Airborne Laser2.jpgB-747やC-130には化学レーザーを使用した。化学レーザーはメガワット級の高エネルギーが可能であるが、大量の化学剤を要し、機内の配管や装置の大きさも問題であった。
●機上搭載用として研究者は、電子レーザーやファイバーレーザー等に目を向け始めているが、化学レーザー以外はせいぜい150kw程度の出力である。研究者は、破壊用のレーザー兵器は遠くない将来可能と主張するが、運動破壊兵器の補完であって代替は難しいかもとの印象を筆者は受けた
●破壊兵器以外の、敵兵器センサー盲目化兵器や地形判定や目標照準にレーダー電波的な活用することにも目が向けられている。
過去の研究の成果
●これらの開発から得られた技術は、レーザーの目標への指向技術、装置の発熱対策、機体搭載技術、ソフト、装置の取り扱い要領、ビーム照射に必要な細かな百余りの光学部品開発などであり、次の研究に引き継がれる。
●ビームの照準が大気の影響をどの程度受けるか、どの程度減衰するかの基礎データも得られた。また目標物質の反射率や厚さにより、レーザーの致死性効果がどの程度かのデータを得ることが出来た。
directed energy Wp.jpg●今後の課題は、発射機材の残存性、レーザーの致死性見極め、状況認識である。しかし、化学レーザーの開発の優先度は高くないようだ。
Pawlikowski中将は課題を2つあげている。つまりまず、レーザーが効果を発揮する目標物を何にすべきかを利用可能なレーザーから導き出すこと、そして機上でどの程度のエネルギーのレーザーが得られるかを見極めることが必要と述べている
空軍による今後の研究
Demonstrator LWSystem.jpg●AL計画終了後、空軍とDARPAによるDemonstrator Laser Weapon System(DLWS)計画がレーザー兵器開発を「歩行以前の匍匐前進で」牽引する事になる。これはsolid-state laserで150kw程度である
●現状では、投入したエネルギーの15%しかレーザーにならず、残りは熱となって熱処理が大きな課題になっている。30–40%をレーザーに活用できれば画期的な飛躍になる
●少し根本に立ち返り、まず地上で必要なレーザー能力獲得に集中し、その後機体への搭載についてサイズや重量を検討する計画となっている。数年後にはB-1に搭載して仮試験を行い、将来的にはPOD型にして、多様な機体への適応を可能にしたいようだ。ただ具体的に承認された計画ではない
●ただ、地上での機材開発と航空機搭載の間には大きな壁や隔たりが存在しているのも事実。
●F-35企業研究者の中には、計量・小型で発熱が少ないFiber lasersが戦闘機クラスには有効だとして、企業資金で研究を行う者がいる。コックピット後方のスペースに機材を搭載する構想だという
●種々のレーザー技術を混合したハイブリッドレーザーにも期待が集まっている。具体的にはDiode-Pumped Alkali Laser (DPAL)が、今後5年ほどで100kwレベルで実用化されると期待している
Diode-Pumped Alkali Laser.jpg●「いつまでたっても完成は5年後」との陰口に多少は同意しながらも、イージスシステムは1970年代から研究し、F-22も1984年に開始され、やっと最近安定してきた装備である。新技術の成熟には時間が掛かる
●ただし、Pawlikowski中将は開発に必ずしも米国がリードしているわけではないと警戒している。米国で研究を開始した外国人研究者が、資金やプロジェクトを求めて本国や3国に流出していると懸念している。
●技術レベルの課題は他の分野と共通の問題を抱えていると・・・。
////////////////////////////////////////
我々一般人は、レーザー兵器に対し映画「スターウォーズ」等のSFイメージを膨らませすぎたのかもしれません・・・。
突然、新素材を用いた強力レーザーが、小型で軽い装置から照射される時代が来るかもしれませんが・・・。それでもレーザー光線は、発射後に軌道修正が出来ないので、余程高度な目標照準をしないと目標に命中しないのかもしれません
そういえば、目視範囲内の基地防空や艦艇防衛用には「ready to go」との表現がありました・・・
「電磁波で非致死性兵器」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-03-12-1
「EMP利用の兵器研究」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-12-08
「驚愕映像:無人ヘリ大編隊」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-02-04
「核抑止の代替?CSMについて」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-04-25

タイトルとURLをコピーしました