17日、来日したパネッタ長官は森本防衛大臣とともに会見に臨み、北朝鮮の弾道ミサイル監視用に現在青森県車力に設置されているAN-TPY-2レーダーを、更にもう1台設置すると発表しました。
設置場所については未確定で、今後日米間で協議するとのこと。
パネッタ長官は会見で・・・
●米日両国は追加の「Tippy-Two」レーダー配備に関する協議を開始した。
●追加配備の目的は、日本防衛の能力強化、米軍前方展開部隊の支援、そして米本土を北朝鮮のミサイル防衛から防衛するためである
●継続的なBMD分野における緊密な協力は、両国の共同コミットメントに沿ったものである
●(質問:中国の反応をどう考えているか?)日本の次の訪問国が中国だが、中国に米国が北朝鮮の弾道ミサイルに懸念を持っていることを隠す必要はない
●中国には米国の懸念を明確に伝えるつもりだし、本事業の推進は非常に重要である。米国とその同盟国を守るための重要な一歩である。
●中国側にはこの点を継続して伝えていくつもりである
パネッタ長官に同行の国防高官は・・・
●米国からの調査チームが今週日本に到着し、日本側関係者とともに追加レーダーの配置場所を検討する
●地上配備レーダーを増やすことで、同タイプのレーダーを装備した艦艇の運用柔軟性を確保することが出来き、世界の他地域でも活用できるようになる
●追加レーダーは中国からの防衛を意図したものではなく、北朝鮮の弾道ミサイルから米本土、米国民、前方展開米軍、地域の同盟国等を守るものである
米ミサイル防衛庁(MDA)のAN/TPY-2資料は・・
●弾道ミサイルを探知、追尾、識別タイプ分析、軌道・着弾点予測するレーダーシステム。車両・鉄道・空海路で輸送可能
●AN/TPY-2レーダーと高層から低層に至る(迎撃ミサイル)センサーを組み合わせることでミサイル追尾の確度を高め、要撃確率を高める
●3台のAN/TPY-2レーダーが同盟国等に配備済み。7台が製造され、更に3台が製造中。最終的には11台保有の計画
●AN/TPY-2レーダーは、宇宙監視やデータ収集にも活用可能(もともと高層用のBMDミサイル用だから)
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17日のNHKニュースでは、沖縄以外の日本の南部と米国防省関係者が語ったと報道されています。
直進性の高い「Xバンド」ですから、遮蔽物の少ない日本海側の自衛隊基地なのでしょう。沖縄以外とすると・・
本レーダーを良く知らないので、「知恵蔵」等よりコピペ
●防空用レーダーや戦闘機搭載用レーダーの波長30〜100cmと比べ、高い分解能が得られ、目標を点としてではなく形として把握できる能力から、弾道ミサイル防衛システムの目標(ミサイルや弾頭)捕捉、弾頭とオトリとの識別、追尾、迎撃ミサイルの誘導に使用される。
●波長が短いために大気による減衰が大きく、遠方に到達させるには大出力が必要となる。
●巨大なものには平均出力170kW級もある。4000kmの遠方で弾道ミサイルの弾頭の探知ができ、2000km以内なら実弾頭とオトリの識別が可能とされる一方、周辺環境への影響を懸念する声も
●AN/TPY-2レーダーはTHAAD終端迎撃システム用レーダーで出力150kw。移動用のため上記の170kw級や航空自衛隊のFPS-5ほどの出力はない。1平方m級の目標ならば2300kmで探知可能
なおパネッタ長官は・・
●日本での滞在を短縮し、日本で会見を行った17日夕方には北京に到着。予定を一日延ばして3日間の中国滞在計画に。
●19日には習近平、徐才厚(中央軍事委員会副委員長)、戴秉国(安全保障補佐官、外交のトップ)と会談。北海艦隊で艦艇や潜水艦視察も
●出迎えは軍事交流を取り仕切る馬暁天(副参謀総長)
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他の2台は、チェコとトルコだったでしょうか・・・
レーダーの性能を捜索可能範囲2300kmとすると、単純に考えた場合、中国の沿岸地域は十分にカバー出来ますが・・・
「米中国防相会談」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-08
「パネッタ長官シャングリラ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-05-24
「パネッタ長官のアジアツアー」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-22
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