合併で世界最大の航空軍需産業誕生か!?

BAE-EADS.jpg12日付「Defense News」は重大緊急ニュース扱いで、欧州の2大航空機企業(BAEとEADS)が合併の交渉を行っていると報じました。
両社とも交渉実施を認めており、仮に合併が実現すれば、現在航空業界トップのボーイング(収入$68 billion)を抜く収益$93 billion規模の企業が誕生することになります
12日付「Defense News」記事は・・・
EADSはその株式の一部を仏と独政府が保有する企業で、エアバス製造が柱の企業。売り上げの軍民比率は1:3
BAEは民間企業であるが、英政府が有効な割合(golden share)の株式を保有している
BAE-EADS2.jpgBAE社の声明は「合併後の企業の4割をBAE社が、6割をEADS社が保有の形で議論を行っている」、「2社が並列的に対等に並ぶ構造を考えている」等と述べている
EADS社はBAE社の声明を認めつつも「種々の合併形態が議論されている。またEADS取締役会の承認を得る必要がある。議論によっては変更もあり得る」と慎重な姿勢を見せている
●両企業が関係する各国政府との協議は始まっており、10月10日までに合併の成否について発表する義務を負っている(期限は延長可能だが)。
EADSにとっては、本合併によりユーロファイターや軍事航空事業の合理化が推進でき、更に米国市場へのアクセスを確保することが出来る
ユーロファイター事業は、英独伊スペインが発注を遅らせており、生産ラインのスリム化が計画されており、外国市場の模索が重視されている
●軍需関連産業の合併では、一般的に合理化の推進程度が課題であるが、今回の合併で合理化がどこまで進むかは明らかでない
●合併によってEADSが手放す部門が生じるのではとの憶測もある。特に独に所在するCassidian軍事部門が話題に上っている
合併への外部の反応
eurofighter.jpg欧州内に合併を妨げる動きはない。しかし専門家は、米国当局が慎重な姿勢を見せるのではと予測している。EADS社がBAEのルートを通じ、米国内市場に参入することを米国が警戒すると考えている
●英国のコンサルタント企業関係者は「EADSのような仏や独資本の企業の米国への進出を、米国当局は歓迎しない。現状のBAEの活動のみしか認めないのでは」と見ている
米国当局は昨年、軍需産業分野の各部門の上位企業同士の合併を推奨しないと警告を発していた。BAEとEADSがこれに該当するのかは不明である
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まだ全体像や合併の狙いや影響について情報が不足していますが、種々の波及的影響があるものと予想されます。
軍需産業政策について明るくないのですが、米国政府は企業間の競争が失われる合併や米国市場への外国勢の進出を懸念しているのでしょう。
「BAE社がリストラへ」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-09-28
「ドイツが大軍縮」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-30
「英軍2020年までに戦闘機半減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-12-13-2
「強制削減と米軍需産業」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-09-07
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