29日付「Defense Tech」は、ロシア副首相が2020年までに超超音速爆撃機(hypersonic bomber)を保有したいと語った模様です。発言日時や場所、前後関係が不明ですが、とりあえずご紹介します。
発言したのは軍需産業界を担当する副首相Dmitry Rogozin副首相で、「B-2爆撃機のようなものは追及していない。ロシア空軍幹部は米国防省が開発に取り組んでいる超超音速技術を追求したい」と述べた模様です。
副首相が言及した「米国防省が開発に取り組んでいる超超音速技術」のX-51Aは、8月15日に3度目の試験を失敗して今後の予算めどが立っていない状況だけに、ロシア副首相の発言が米軍事メディアの注目を集めています。
ロシアの新爆撃機に関しては・・・
●6月9日、ロシアの航空機工場を訪問したメドベージェフ首相が、「5世代戦闘機の開発と並び、新爆撃機の開発に着手する」と宣言、同工場が新爆撃機の生産を担当すると発表。
●この新爆撃機は、現在ロシアが運用している爆撃機3機種(Tu-95MC Bear, Tu-160 Blackjack and the Tu-22M3 Backfire)の後継機。2009年に新爆撃機開発の話が軍やロシア軍需産業界から持ち上がって以来、その必要性等を巡って熱い議論が。
●ロシアの軍事専門家は、今開発に着手しなければ、2040-2050年頃までに全ての長距離爆撃機が姿を消すリスクを負うことになる、と警告。
●ロシア軍のMakarov総参謀長は計画通り新爆撃機を開発すると述べ、「開発は既に進んでいる。生産段階に入る頃には、同クラスの近代爆撃機の能力を凌駕することが明らかになるだろう。米国製のモノも含め」と発言
同副首相は慎重派のはずだったが???
●6月、軍需産業を担当するRogozin副首相は、新爆撃機の開発の必要性に疑問を投げかけた。同副首相は「現代の防空や弾道ミサイル防衛能力からすれば、爆撃機が目的地に到達することには無理がある。新爆撃機は不要だ」と強く反対。
●昨年Popovkin副国防相も、少なくとも2015年以前に新爆撃機計画の着手することはないと慎重な姿勢で、現有のTu-95MCやTu-160爆撃機を改修して2030年前後まで使用する考えを示していた
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断片的な報道なので、超超音速爆撃機の話が個人的意見なのか、ロシア国防省や軍としての考えなのか不明です。ちなみに超超音速とは、音速の5倍以上を指すそうです。
特にRogozin副首相の考え方がよくわかりませんが、想像をたくましくすると・・・
●現代の防空能力からすれば、爆撃機が目的地に到達することには無理がある。(B-2のような亜音速の)新爆撃機は不要だ。
●地対空ミサイルが対処できない超超音速の爆撃機なら考慮しても良いが・・・。
●大統領や首相がロシア空軍立て直し軍拡を宣言するなら、仕方がないから米国が苦労している技術に挑戦する姿勢を見せて上司を喜ばせよう。
あくまでも想像ですが、こんな感じでしょうか!?
「ロシアが新爆撃機開発宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-16
「本物かロシア空軍軍拡宣言」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-15
「X-51A 3度目の失敗」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-16-2