AF-Magazineの1月号が「Meet the New PLAAF:中国空軍との対峙」との記事を掲載し、米空軍情報収集部署(NASIC:National Air and Space Intelligence Center)が発表した中国空軍の装備品状況等について紹介しています。2010年版のレポートと言うことでその古さが気にはなりますが・・・。
最近同誌は四半期に一度ぐらいの頻度で中国軍を取り上げており、関心の高さを伺わせますが、今回は広く中国空軍全般の近代化状況をレビューする内容となっています
戦闘機とその搭載ミサイルや、地対空ミサイルの近代化を紹介した後、約150機存在する旧式のH-6爆撃機に関し、搭載可能な巡航ミサイルDH-10や対艦ミサイルの発達により、侮れない脅威となっていることを強調しています
本日は同記事が最後に触れている、中国空軍の欠点・弱点(holes)の部分をご紹介します
記事は中国空軍のholesを・・・
●空中給油機の少なさは課題だろう。現在中国空軍は、H-6爆撃機を改造した空中給油機を8機程度しか保有していない
●訓練や実戦の経験不足も指摘できる。米空軍は継続的に多様な実戦経験を持ち、それを反映した大規模な演習を行っている。
●しかし中国空軍はベトナム戦以降の実戦経験がない。また中国空軍は米軍のレッドフラッグ演習のような大規模演習の場を設けていない模様である。
●ただし、2010年にはトルコで同空軍との演習を行っており、今後が注目される
●装備や訓練以上に判断が難しいのが、各レベルの中国空軍指揮官の能力である。興味深いのは、中国空軍の主要幹部のほとんどが戦闘機パイロットである点で、その特徴を反映しているだろうと思われる
●装備の近代化と「情報化」教義により、周辺国にとっての課題となりつつある中国だが、その最大のアセットは地理的に巨大な大陸にある。そのどこからでも戦闘機や爆撃機、支援機や偵察機を発進できるからである。彼らは母基地近傍で戦うことが出来る
●一方で米国とその同盟国は、戦力発揮のため空中給油機やISRアセットや管制機の支援を受けなければならないが、それらすべての支援アセットは脆弱である。
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中国空軍の弱点を紹介し始めたつもりが、いつの間にか我の立場を振り返る中身になってしまいました。元の記事の構成がこのようになっているので、ご容赦ください
でも、「中国空軍の主要幹部のほとんどが戦闘機パイロット」である点を弱点のように捉え、逆手にとれないか・・・との視点は興味深いです。
湾岸戦争で衝撃を受け、1996年の台湾総統選を巡る情勢緊迫で米空母の脅威を思い知らされた中国軍が、米軍の弱点を研究してA2ADを狙っている中、しかしリーダーは・・・そこが欠点だとの鋭い指摘です。
地理的要因も含め、総合的な国力で圧倒的な中国相手ですから、我々は何でも活用する気構えが必要です。
記事を書いたのは、AF-Magazineではお馴染みのRebecca Grant博士(40代の美人)で、空軍関係企業の調査・コンサルタント会社も経営している人です。ちなみに旦那さんは米空軍の戦闘機パイロットです。
米空軍参謀総長が嘆いた「戦闘機パイロット文化への攻撃」は、空軍内だけでなく、パイロットの家庭内でも噴出しているのでしょうか?
「仰天:空軍トップの新年レター」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04
「脅威の真打:中国巡航ミサイルDH-10」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-08-08