強制削減は秒読み段階に!?

money.jpg国防予算の強制削減(Sequestration)が、2か月延長された新しい開始日3月1日には、発動されそうな様相です。
一方で、暗い見通しの中で国防省は強制削減への対処計画を2月8日までにホワイトハウスへ提出することを求められており、その後主要幹部がその影響と問題点を議会で改めて訴えます
いくら国防省が訴えても、議会における共和党と民主党の対立が解決に向かう気配はないようですが、手順はそのようになっています。
本日は2月中の「虚しい」手順のご紹介です
まず27日付ロイターの記事は
Ryan.jpg下院予算委員会のライアン委員長は27日、年初に延期が決まった歳出の強制削減について、予定通り3月に発動されるとの見方を明らかにした。NBCの番組で述べた。
●ライアン委員長は「強制削減は起こるだろうと思う。われわれ共和党は他分野の削減と引き換えにこれらの削減を回避しようとしているが、民主党は反対し、代替案も示していない」として、民主党を批判した。
今後の虚しい「手順」は・・・
2日Defense-News記事より
●2月8日までに、国防省は強制削減への対処計画を2月8日までにホワイトハウスへ提出
●2月15日までに、文民職員の「furlough」を議会に申請。「furlough」とは賃金が支払われない「無給休暇」。週に1日程度の無給休暇が強制される模様。45日前までに許可が必要
panetta2013Bgt.jpg●2月12日には、各軍種制服トップが上院軍事委員会で強制削減の影響を語る公聴会を予定。26日には各軍種の前制服トップが同様の公聴会に登場予定
●2月26日には、下院の軍事小委員会に各軍種の制服トップが出席
●上記のヒアリングで何を述べても「too late to make a difference」と考えられており、複数の国防省高官は強制削減発動時点での辞任を示唆している
●例年であれば、2014年度予算案を2月初旬に取りまとめて議会に報告するが、作業は遅れている。政府の予算局(OMB)が示した強制削減を踏まえた予算作成指針が不十分で作業が進まない
岡崎久彦氏の強制削減へのコメント
●米国の国防費は、冷戦中のGDPの6%から毎年減って、クリントン政権の後半(1997-99年)には3%にまで落ち込みました。
●当時は装備が故障した場合、新たな部品が調達できず、他の装備を「共食い」して全体の戦闘力が落ち、人件費や手当も削減されて軍の士気も極端に落ちました
okazaki.jpgしかし2001年にブッシュ政権誕生後は、2001年の9.11を待たず、国防費増額の方針が決定されたという経緯があります。
●クリントン政権の後半でもGDP比3%でしたが、強制削減無しでも3%以下に落ちる予定で、それに加えて、部分的にでも強制削減が適用されれば、もっと酷いことになります。
●国防費のGDP比は、3.5%~4%ぐらいが、覇権国として責任を負うには適度ではないかと思われます。
●イラク戦争で軍事費の増大が憂慮された時、かつて『帝国の衰亡』を書いたポール・ケネディが、GDP4%で帝国が維持できるのなら安い、と言っています
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最後の最後には回避される・・・との某先輩の言葉を何となく信じてきましたが、最近は悲観的な気分がします
欧州を中心とする主要各国の外相と国防相が集合するミュンヘン安全保障会議で、カーター副長官も悲観的な発言を行ったようですが・・・
ところで・・・もしかしたら「強制削減」という「sequestration」の訳語は、ブログ「東京の郊外より・・・」から生まれ定着したのでは・・と自惚れています。
まんぐーすは少なくとも、「sequestration」の訳語が日本語報道で見当たらないので、2011年の夏ごろ苦し紛れに「強制削減」と勝手に訳し、以後使い続けています。
強制削減関連の記事
「海軍は空母活動停止も示唆」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-26-1
「空軍2トップが強制削減策を」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-01-15
「強制削減をやさしく解説」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-28

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