米空軍QDR課長:独立した空軍にこだわらない

KwastQDR.jpg20日、米空軍QDR検討チームを率いるKwast少将(F-15E)が、AF-Magazine編集者とのインタビューで、国防省が2014年に発表するQDR(4年毎の国防見直し:Quadrennial Defense Review)作成に向け、空軍チーム長としての心構えを語りました。
同誌3月21日記事より
18日ヘーゲル長官が、5月末までに、リバランスやアジア太平洋重視を打ち出した昨年1月発表の「新国防戦略:Defense Strategic Guidance」の前提を再評価するよう命じたところですが、米軍に大波が迫っているようです。
同少将は「空軍の独立にこだわる訳ではない」、「(他軍種との戦いに)ナイフをポケットに忍ばせて」等、厳しい財政状況下、かなりの覚悟で本年1月から現ポストについていることが伺えます。
Steven Kwast少将はQDRについて・・・
KwastQDR3.jpg独立空軍(separate Air Force)存続主張が私の仕事ではない。国防省幹部がそう言っていない以上、私はそう言えない。米空軍の保護ではなく、国家の防衛が課題なのである。本件のような我々に突きつけられた課題を議論する、柔軟性のある才覚が我々には求められている
●もし私が個人的見解を求められれば、独立し空に特化したアプローチの驚くべき価値を考える。米国が独立空軍を保有した1947年以来証明されてきたその姿である
●しかしそのような過去の前提は常に問い直さなければならない。そうでなければ、過去にしがみ付く未来に突き進むことになる。変化や自省に開かれた心を持たない文明は、消え去った歴史の一部となりえる。
QDR.jpg●2月の空軍協会総会でペーター元空軍長官から、「QDRとは戦略と政策計画の一大イベントといわれているが、その実態は予算獲得の戦いだ」との話を聞いた
●そのような事にならないことを皆さんは希望するだろうし、本課題に同士として開かれた心で取り組みたいと思う。しかし予算制約が極端に厳しく、国家安全保障を考える上で静かな議論で済まないような場合、私はナイフをポケットに忍ばせておくことも忘れない
●ナイフを使う様なことが無ければよいと思う。でもその可能性が無いと考えるほどナイーブでもない。しかし予算獲得争いは我々の望む方向に事を導かないと思う。革新的なアプローチを拒んだ時に陥るケースである
米空軍内の現役、予備役、州兵のあり方も大きな議論のテーマとなり、全ての一体化も議論の対象となる。
●これまでの3者組み合わせ議論はあまりにも複雑であり、空軍全体にとって縦割りの問題解決を避けることが重要となっている。組織形態でなく、個々の人を重視した議論が求められている
●2013年度予算が議会で議論された際も、本件を根本的に議論することを求められている
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KwastQDR2.jpgKwast少将は推定49歳。30代で副大統領の軍事副官を勤めた経験者ですが、その双肩に掛かる重圧はいかほどかと思います。
でも・・・紹介したインタビューでも、空軍内やOBへの配慮をした上で、自らの信念を語っています。どこを削るかによって自らのキャリアを犠牲にしかねない、真剣勝負を迎えています。
ストライクイーグルF-15E操縦者として600時間以上の実戦飛行を生き延びた胆力と、空軍士官学校、ハーバード大、ボストン大やMITで鍛えた知力で乗り切っていただきたいと思います。
同少佐の経歴表
→http://www.af.mil/information/bios/bio.asp?bioID=12695
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