米空軍「トップガン」教育中断

HostageACC2.jpg11日、米空軍戦闘コマンド(ACC)のMichael Hostage司令官(大将)は講演で、予算削減による空軍機の飛行時間削減により、米空軍の教官クラス操縦者を養成する通称「トップガン・スクール:weapons school」の教育を中断すると述べました
Weapons schoolは、全米空軍から優秀な中堅クラスの操縦者を集め、集中的に密度の濃い教育と訓練を実施し、各部隊の中核的指導者となる要員を育成する場所で、映画「トップガン」はその海軍版組織を描いたものでした
同司令官の講演を伝えるAF-Magazine記事は、同司令官が8日、ACC所属の9つの戦闘機飛行隊と3つの爆撃機飛行隊の飛行訓練時間を削減し、「low state of readiness」(即応態勢の低下)状態になることを認めたと報じています
11日の講演でACC司令官は
AF-weapons.jpg●現在Weapons schoolで教育を受けているクラスは、予算削減のため教育を中断し、最後の総合的な演習を行うことなく卒業することとした
●その影響は短期的には目に見えないが、今後米空軍に長期間負の影響を与えるだろう。Weapons school修了者が付ける「ワッペン」保有者を養成できなくなると、前線部隊の体制維持に広範な影響が出るからだ
●Weapons schoolだけでなく、今週ACCは、戦闘航空部隊の大部分に影響を与える「即応体制の低下」につながる飛行時間削減措置を命じた。
海外任務に当たる部隊の運用経費を確保するため、ACCの基礎予算を削って転用したからである。年度予算の実態からすれば、極めて大きな問題である
●予算の強制削減が長引けば長引くほど、ACCの運用柔軟性は損なわれていく
●そして態勢を低下させた部隊を元に戻すには、より長い期間を要することになる
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F-22Hawaii3.jpg先日Defense-Newsのスクープ記事として報じた、訓練飛行時間が削減される米空軍飛行部隊名リストが、ほぼ間違いない「本物」であることが明らかになりました
従って、在日米空軍に配属されている4つの戦闘機部隊のうち、3つが「即応体制の低下」状態を許容されたと考えてよいでしょう
「在日米空軍も飛行時間削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-09
「サンダーバード飛行中止」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-03-05
各地に空軍の魅力をアピールする「サンダーバード」の飛行停止を先日お伝えしましたが、トップガンにもその影響は及びました
今後、在日米空軍と日本との共同訓練にどのような影響が及ぶかが注目されます
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Fan2013-March.jpgついでにですが3月号の雑誌「航空ファン」がF-35開発状況を探る特集記事を掲載しました。
その意気込みは買いますが、紹介した中身はロッキード社の機関誌記事の翻訳(企業のご厚意により写真も満載)でした。つまり米議員や米軍関係者が強烈に批判している製造企業の「大本営発表」を、そのまま大宣伝しているわけです。
例えば未だ解決の方向性が見えない空母用F-35のフックの問題について、「少し設計を変更して試験をすれば問題ない」との企業側発言をそのまま紹介している有様です。
翻訳を担当するのはマスコミでおなじみの「軍事評論家」ですが、魂までは売りたくないものです・・・
兄弟ブログ「輪になって踊らず」の新記事
「戦闘機の呪縛から離脱せよ!」→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16

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