議会の指示:F-35と陸軍無人輸送ヘリ

F-35transonic.jpg5月23日と24日付Defense-Tech記事は下院地上及び航空戦力小委員会(Tactical Air and Land Forces Subcommittee)が国防省と陸軍に対し、2014年度予算要求の提出にあわせて報告書を提出するよう求めていると報じました。
国防省に対してはF-35ソフトウェア監視チーム立ち上げとチームによるソフト開発監視報告を、陸軍に対しては、海兵隊がアフガンで使用して大好評の無人輸送ヘリの導入可能性と有効性分析レポートを同報告書に含めるよう要求しました。
F-35ソフト開発監視チームを設置せよ
F-35FrontB.jpg●下院の軍事小委員会は国防省に対し、F-35ソフト開発を監視する専門家チームを編成し、専門チームによるレビューを2014年3月3日までに提出するよう求めた
●同委員会はF-35開発と調達計画を支援するものの、専門家によるレビューによりF-35開発が計画通りに進むことを確実にしたいと声明を発表した
F-35のソフトは従来の機種に比して膨大な量になっており、1兆行以上になると言われている。国防省F-35計画室の報道官も「ソフト開発がF-35開発の焦点になっており、堅実な計画とその遂行が求められている」と述べている
●現在は「2Bソフト」を飛行試験中だが、これは各種センサーを機能させる能力を持った「2Aソフト」に、CASや各種兵器(AMRAAM、JDAM、GBU12レーザー誘導爆弾)管理機能を加えたソフトである
●「3Iソフト」は、「2Bソフト」を技術的により洗練したものだが、2016年までに完成する予定である。この計画は複雑で多数の技術者が関与する仕事になるが、産業界と政府関係者の指導者が、F-35開発の焦点と考える業務である
「ソフト開発と技術移転が課題」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-26
なぜ陸軍は無人輸送ヘリを導入しない
K-MAX.jpg●下院の軍事小委員会は陸軍に対し、陸軍による無人輸送ヘリ導入拒否を再考するように求め、陸軍における無人輸送ヘリの潜在的有効性を評価分析した報告書を2014年2月15日までに提出するよう要求した
●同軍事委員会は、海兵隊が試験的にアフガンで使用しているK-MAX無人輸送ヘリが現場部隊に大変好評で有るにもかかわらず、海兵隊と同様の兵站補給の問題に直面する陸軍が一貫して同タイプの無人機導入を拒んでいる状況を懸念している
●小委員会は陸軍に対し、K-MAXのような装備を購入して運用した場合のコストを維持費を含めて見積もるように指示し、併せて陸軍内の兵站輸送システムの中にどのように組み込むのかも報告するよう求めている
●アフガンで陸軍部隊と同様の環境下にある海兵隊や海軍の指揮官は、仕掛け爆弾の脅威から地上輸送部隊を解放し、夜間でも必要時に輸送要求に対応できる無人輸送ヘリを絶賛し、試験用のK-MAXを永遠に使用したいと申し出ている
「海兵隊がK-MAXを大絶賛」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-05-02
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F-35の最大の課題とされるソフト開発を監視するのは当然のことであり、購入予定国の専門家も是非含めてほしいものです
Odierno2.jpg陸軍が無人輸送ヘリに対し「冷ややか」なのは、間違いなく、現在ある有人輸送ヘリ部隊の仕事を奪う可能性があるからです。偏狭な組織防衛です。
その点、海兵隊は現有の有人ヘリやオスプレイの保有数や能力に限界があり、陸軍や空軍に輸送を依存する部分が多かったのでしょう。無人輸送ヘリの有効性を、素直に享受したわけです
我が国が無人機の研究ばっかり延々と続け、全然導入に踏み切らないのは、米陸軍と同じ理由です
K-MAXの映像はこちら

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