タイトルは根拠のない仮説ですが、最近の「防衛計画の大綱」議論を見ていて思います
7月26日に防衛省が「防衛力の在り方検討に関する中間報告」を発表し、選挙で大勝した安倍政権が安全保障面でも動き始めた感があります。
具体的には、夏休みを前に「集団的自衛権」や「内局運用企画局の廃止と統合幕僚監部への一元化」など、法制面や組織運用のソフト面での改革を打ち出す動きが盛んです。
政府外からも、その動きを後押しするかのように、上記「中間報告」でも取り上げている「グレーゾーン事態」対処の法制整備を訴える論考が出ています。
なんと「戦闘機命派」の自衛隊OBまでもが「戦闘機命派論」を封印し、尖閣対処を念頭に置いた「グレーゾーン事態」法整備の必要性を訴える小論を、「中間報告」発表直後に「内容を事前に承知で準備していたかのように」発表しています
もちろん、「集団的自衛権」や「統合幕僚監部の強化」や「グレーゾーン事態」法整備が悪いとは申しません。前進が必要な課題です。でも「ソフト面」だけに議論が集中し、ハード面で「着上陸作戦関連」や「無人偵察機の(相変わらず)検討」だけが話題の状態は極めて異常です。
特に異常だと思うのは、「中間報告」全般の論旨が米国防省のアジア太平洋政策のコピーに近いため論理的な流れはあるものの、「4畳半1間にマンモス」を入れるがごとくに無理のあるF-35事業の必要性が読みとれる部分が皆無だと言うことです。
「無理心中」覚悟の自爆装備F-35導入の必要性等について、全く論じられていません。触れたくない・・・との思いが溢れんばかりです!
ほんの少しだけ期待を持ちたいのは、「新たな能力評価方式:陸海空別々でなく、統合運用の視点から重視されるべき機能・能力を導出」や「大綱別表への記載事項の再検討」に現れた、現枠組みからの離脱の試みですが・・・
「防衛力のあり方検討中間報告」
→http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2013_chukan/20130726.pdf
なぜ史上最大の問題兵器F-35を議論しないのか?
法整備やソフト面は改善への取り組みですが、F-35は正に「谷底へ速度を増しながら暴走中の事業」です。早く止めないと、法整備やソフト面を整備したとしても、我が軍の実動機能の全てを食い尽くし、身動きを取れなくさせる可能性極めて大の「ガン細胞装備」です。
その惨状は枚挙にいとま無く・・
●空軍用A型の一応の完成が3年半以上遅れの2016年末となっているが、16年末時点でも基礎的防御能力を備える程度しかソフトが完成していない見込みで、要求性能を満たすソフトの完成時期は実質未定
●飛行試験の進捗は4割程度で、基礎的な「飛ぶだけ」性能確認が出来ているだけ。本格的な戦闘機運動試験、兵器搭載試験、総合システム試験はソフト未完成で計画も立てられない状況
●生ぬるい試験と国防省評価室長から酷評される飛行試験にも関わらず、既に「高機動時のバフェットや低速運動時の問題対処が壁にぶち当たっている」状態
●米軍の購入価格でさえ、当初計画の約70億円から180億円以上となっている。開発と生産を同時並行する「見切り発車」状態なため、今後改修経費が発生するが、その費用はこの価格には含まれていない
●この惨状に共同開発国も一斉に「及び腰」状態になり、調達機数の3割削減や契約延期、カナダに至っては購入白紙撤回となっている。これだけでもかなりの更なる価格上昇要因
●ロッキード・マーチン社はヘーゲル国防長官とも協議し、予算削減で苦しい米軍への依存を減らし、官民が一体となって海外販路拡大で一致団結
●日本は初号機の価格を約100億円として予算計上したが、同時期の米国用価格が約180億円と決定され、既に「米側にはしごを外された」状態の大混乱で、防衛大綱や中期計画の経費見積もりが実際は立てられない状態なはず
●これに加え、戦略無き防衛産業保護のかけ声を受けた「国内組み立て工場」へのこだわりで、米国価格よりコストが上昇することは決定的。過去の戦闘機例から価格2倍の例も。
●少子高齢化の中で日本の財政が急激に好転する見込みはなく、「中間報告」が指摘した「大規模武力紛争の蓋然性は低い」中で防衛費の急増はあり得ず(あるべきでもなく)、価格高騰のF-35購入は「細く長く」ならざるを得ず、益々価格は高騰する。
●この間F-35価格や対米交渉に振り回され、他の防衛装備や人材育成は目途が立てられず「行き当たりばったり」に。人も組織もやる気をなくし・・・。特に、中国のA2AD対処に戦闘機の価値が「ウナギ下がり」であることが認識され始めている中で・・
●米空軍では、戦闘機の重要性低下と戦闘機パイロットによる空軍支配のギャップが、既に組織内対立を呼んでおり、軍内査察で「戦闘機派パイロット文化への攻撃」が問題視され、空軍トップが全兵士宛のレターで注意を促す事態に至っています
●以上のような「火を見るよりも明らか」な「負の連鎖」を、優秀な官僚や専門家が気づかぬはずもないはず・・・。
そこで「F-35購入はTPP用の貢ぎ物」説の登場!
ちなみに、まんぐーすはTPPに詳しくありませんが、TPP反対派団体やその顔ぶれに拒否反応なので、「TPP賛成派」です。
TPPの生命保険分野でこんな話がありました。
●日本生命は、「ゆうちょ保険」と共同で保険事業を始めようと努力を積み上げてきました。しかし最近突然、ゆうちょ保険が米資本「アフラック」と共同で保険事業を日本で始めることが決定し、日本生命は排除いされました。
●専門家の見方は一致しています。TPP交渉の保険分野で日本市場開放を求める米国に折れる形で、アフラックに有利な条件を提示し、米国からの「コメ」市場開放要求を弱めるためだと
●ちなみにアフラックは、日本で外資保険シェアの8~9割を握る独占企業で、日本社長が元米通商代表の日本部長だとのこと。アフラック一社にしてやられた感が・・
●「コメの身代わりですか?」と日経記者から問われた日本生命社長は拳を握りしめ、しばし沈黙の後に振り絞るように「そう見えるだろう」とだけ吐き捨てるように呟いたのだとか。
「F-35購入はTPP用の貢ぎ物」説は、こんな話をいくつか聞く中で浮かんできた説です。
これほどデタラメなのに、誰も問題視しないのはなぜだろう? 国会議員も安全保障の専門家も・・・。そう考えると、政治レベルの密約かなんかで、口を封じられているのでは・・と勘ぐった次第です
人類史上最大の兵器開発プロジェクトであり、かつ問題も史上最高のF-35と、日本の国防は「亡国」の道を歩むのか?
今こそもう一度、国防会議決定で「お蔵入り」のF-35をもう一度議論の俎上に載せ、「F-35購入白紙撤回」と「F-4戦闘機分の戦闘機削減」から手を付けるべきだと思います!!!
戦闘機優先の国防を止めよ!
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
中国脅威の本質と戦闘機の価値低下を語ろう!
→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
戦闘機命派の包囲網強化!
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-06-17