2015年度予算案:空母削減&F-16能力向上カットか!?

Ford-Class-Carrier.jpg3月4日に米国防省が議会に提出予定の2015年度予算案を巡り、種々の「噂」が飛び交い始めました。今日はその中から、Defense-Newsが報じる空母隻数の削減とF-16の能力向上カットについてご紹介します。
特にF-16関連は、台湾が実施予定のF-16A/Bの能力向上と一体となっている事業であり、予算カットは「台湾の旧式F-16放置」に繋がります。空母については、何時も登場する話題ですが・・・
空母削減か:空母GWの定期修理費が焦点
予算案まとめの佳境に入り、空母1隻と1個空母航空団の削減が関係者間で焦点になりつつある。国防省、議会、軍需産業関係者間で静かに共有され始めている。未決定ではあるが
2016年から3年間、経費3000億円以上の定期修理と核燃料交換のためにドック入りする空母ジョージワシントン(GW)関連で発生する予算が議論の焦点である。
CV-GW.jpgヘーゲル国防長官は昨年7月31日、強制削減への対応を検討したSCMRの結果を語った際、「ハイエンド紛争用の装備で技術的質的優位を確保するため、装備の量を犠牲にするシナリオも考える必要がある」と語っている
●また同会見で「空母の数を現在の11隻体制から、8~9隻にする事もその一つ」と可能性に言及していた。米海軍高官も「全ての選択肢が卓上にある」と常々語っている。ただ、空母廃棄にも計2000億円が累積必要である
●GWの交代に空母レーガンが配備されることは既に決まっており、極東への直接的影響は直ちには発生しないが、1個空母航空団の約65機の航空機とあわせ、3000人以上に影響を与えることになる
これまでの空母削減を振り返ると
1962年に最高26隻、92年に14隻、93年に13隻、94年に12隻、2007年に11隻体制
ただし、エンタープライズ退役とフォード就航の隙間で一時的に10隻体制
●ただし空母削減には議会の大きな反対がある。特に選挙のある年には議員が削減に反対してきた歴史があり、2014年の中間選挙を考えれば決定は容易ではない
海軍は経費節減のため、古いイージス艦7隻等の早期廃棄を要望しているが、利害の絡む議員や議会の反対を受け計画を実行できずにいる。これも同様の背景である
F-16能力向上CAPES計画中止か
F-16 USAF.jpg●複数の関係筋は、F-16の能力向上計画CAPESが2015年度予算案から落とされるだろうと語っている。
●同計画は300機の米空軍F-16のレーダーや搭載電子機器の能力向上を図るモノで、台湾空軍146機のF-16A/B能力向上もほぼ同じモノでもある(2011年に米が台湾に提供で合意
●米空軍はCAPESの代わりに、F-16の延命施策SLEPを行い、F-35導入の遅れを穴埋めする方向にある模様。SLEPには少し電子機器の更新が含まれているがより安価で、能力向上のCAPESにはとても及ばない
●航空専門家も「SLEPはF-16を維持する最低限の施策で、能力とは関係がない」と語っている。また同専門家は「CAPESで新レーダーを供給する予定になっていたNorthrop Grummanは、他に主要なレーダー関連事業が無くなり大打撃を受けるだろう」と分析している
F-16 USAF2.jpg●台湾の安全保障専門家は「台湾国防省にとって危機的事態となる。パニックになるのではないか。CAPESにも経費分担で米台湾間にもめ事はあったが、台湾F-16能力向上オプションがゼロになってしまう」と困惑している。
●本件とは別に、米空軍が繰り返し要望してきたRQ-4グローバルホーク予算削減は認められず、現場が不用と主張する支出が予算案に組み込まれるだろう
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オバマ政権が3月4日に提出して内容が明らかになると予期される2015年度予算案ですが、それまで、このような「噂」が飛び交うことになるのでしょう・・・
それにしても、米軍が不用とか、優先順位が低いと判断している装備品に、議員や政党が難癖を付ける「困った状態」が目立っています
少ない予算のやり繰りに苦労し、厳しい判断を迫られている国防省や米軍幹部にとって、更には現場兵士にとって、「士気を低下させる効果」十分です
台湾空軍の件も気になります。米国と台湾間の信頼関係への影響を懸念します
「台湾が今後5年間で軍兵士を2割削減」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-01-22
ヘーゲル長官のSCMR結果会見
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01

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