国防省NO3が退任会見

Miller.jpg8日、米国防省のNo3といわれるJames N. Miller政策担当国防次官が離任しました。2012年5月から現職のMiller氏は、前任のフロノイ次官の下で首席次官補を勤めた後に現職を勤めており、シンクタンクCNASを離れて以降5年近くの国防省勤務でした。
今の国防省は政策や戦略家よりも、予算構造に詳しく、予算削減対処のための「切った張った」を裁ける人材が仕切っているようで、臨時の女性国防副長官などがその典型です。
現在、政策担当次官を支える多くの部下ポストが空席状態であり、ヘーゲル長官が進めるペンタゴン職員2割カットを見据えた大幅な組織改編を控え、ちょっと寂しい最後です。
間もなく発表と思われる「QDR」に一定の目途を付けてのタイミングでしょうが、後任の噂も聞きません
離任に先立つ7日、記者団との対談に臨んだミラー次官は、政策担当者から見た対外関係がらみの米国防省の課題を、手短に語っていますのでご紹介します。
Miller政策担当国防次官は最後の会見で
Miller2.jpg●公式には、私が本職に就任する直前にイラクでの戦いは終結したことになっている。しかし、イラクは引き続き問題を抱えている
シリア問題の影響を受けているし、内部問題も続いている。我々は引き続き効率的にイラクを支援できる道を模索している。ただし米軍を再び派遣することはない
●アフガン治安機関主導での作戦への移管を2013年に完了した。2014年はアフガンが自身で治安責任を完全に担うよう移管を進める
●アフガンでの成功の鍵は、カルザイ大統領が留保しているBSA:2国間の治安協定に署名するかにある。協定は米軍を削減しつつもアフガンに残り、引き続き同国治安部隊の訓練や助言を行い、限定的な対テロ作戦も認めるモノである。
●同協定と国際社会の関与があれば楽観的な素地が生まれるが、無ければ2015年には米軍は不在となり、全くのゼロから計画を練り直す必要がある。しかし最終的にはアフガン自身の判断である
●米国安全保障政策の基礎は世界への関与であり、その一環としてのアジア太平洋へのリバランスである。このため米国は地域の同盟国等との関係強化を進めている
●日本による最近の普天間移設先の受け入れを表明は、極めて大きな出来事である。
中国との関わりはリバランスの中心的事項である。軍事は唯一の要素ではないが、米軍の配備量や質をアジア太平洋で高めるのは鍵となる要素である
●世界的な指導力を維持する事は、他地域でもプレゼンスを維持する事である。中東やアフリカでパートナーの能力向上を図ることは、米国の軍事関与において重要な側面である
●米国とイスラエルとの関係はこれまでになく強固である。また、米軍は湾岸地域でのプレゼンスを継続し、昨年はマリの仏軍を支援した。更に、イエメンやリビアでは継続的に対テロ能力構築を行っている等の事例が良い例である
●米国はロシアとの関係も継続していく必要がある。また同時に他の「rising powers」であるインド、ブラジル等との関与も増加している
Miller3.jpgオバマ政権は、安全保障に関し全政府機関の関与を強調する「smart power」を重視している。(同時に)強く能力があり即応体制にある軍、つまり「hard power」は「smart power」に不可欠である
●我々は懸命に我が軍の体制と削減を含めた将来計画を検討している。戦略的にである。
●2010年のQDRに始まり、最近のSCMRと次のQDR準備に至るまで、核体制見直しやBMD見直しや宇宙政策見直し等を行ってきた。細部に変更や見直しはあるが、我が国を守り友好国や同盟国と共に関与することに変化はない
●議会は予算における妥当な妥協に向け機能する必要がある。信頼のおける国家として、より超党派での政策推進が出来た時代に戻るべきである。そして政府と議会が通路を挟み、共に仕事をよりよく行わねばならない
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目新しい無い中身はありませんが、米国防省web記事の流れそのままにご紹介しました。何となく国防省全体の雰囲気を表しているような気がします。
まずイラクとアフガンで、次にあっさりとアジア太平洋に触れ、続いて中東やアフリカ、そしてロシア、インド、ブラジルが登場です。
オバマ大統領の「smart power」への言及には否定的なニュアンスも臭わせつつ、最後に議会の機能不全にやんわり苦言を呈しています。
退任後のお仕事は全く未定だそうですが、大いに外から提言して頂きたいものです

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