16日、先月誕生したイタリアの中道左派・民主党による内閣の新首相Matteo Renzi氏がTV番組で、F-35調達機数の削減に言及しました。
これに先立つ12日、同じ民主党から選出の新国防相Roberta Pinotti女史も、進行中の大規模プロジェクトの再検討・再考・削減に触れており、既に131機から90機に削減されているイタリア購入機数が、更に削減される可能性が高まっています
一方イタリア国内では、イタリアの軍需産業がF-35の部品を製造し、最終組み立てラインも既に稼働開始しており、気づいたときには「亡国のF-35」の「蜘蛛の巣」に絡め取られ、「足抜け」が困難な状況にも有るようです。
17日付Defense-Newsによれば
●16日、イタリアのMatteo Renzi新首相はTV番組で「我々は国際協力プログラムを継続し、強い空軍を維持する。しかし見直しも行う」と述べた。
●更に「今後3年間で国防予算を約4000億円削減する。全てがF-35計画からではなく、不用な施設の売却や軍事組織の再編成によっても経費削減を捻出する」と語った
●2月に就任したばかりのRenzi新首相は、野心的な減税政策を企てており、支出削減策に取り組んでいる。新首相が所属する民主党の中には、調達機数を更に半減して45機にすべきとの意見もある
●同首相に指名されたRoberta Pinotti新国防相はF-35に関し、「合理化を考えるのは政策として自然なことだ」と答える一方で、イタリアの国防ニーズ全体のレビューが完了するまでは、特定計画の中止は計画しないと述べた
●同国防相はまた、使われていない軍施設385箇所の売却を推進する意欲を示した。この売却は歴代政権が計画に上げていたが、お役所仕事で具体的に進んでいない。
16日付Defense-Newsによれば
●イタリアの新政権が減税施策を掲げる中、12日、Roberta Pinotti新国防相は議会で初めて発言し「進行中の大規模プロジェクトでも、仮にそれが経済的に国際的に時機に適さないと考えられても、再検討・再考・削減を躊躇しない」と語った
●同じ12日、Matteo Renzi新首相は、第2次大戦以降で最悪の景気後退に直面しているイタリア経済立て直しのため、大胆な減税計画を発表していた。
●同国防相は、どの計画が削減の対象かに言及しなかったが、既に131機から90機に削減されているイタリア購入機数が遡上にあるとの関係者の見方を強めた。
●一方でLockheed Martin社は11日、イタリアのAlenia Aermacchi社が製造したF-35の翼を使用した機体が、3月6日に初飛行し、年末には米空軍に納入されると発表した。
●同企業はF-35の翼を800機分生産することになっているが、この業務分担はイタリアが90機を購入する頃が前提となっている
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
Lockheed Martin社が、F-35の部品も含めた生産を全米40州に分散し、雇用と税収を地域に生み出すことで議員を「丸め込んでいる」との記事をご紹介しましたが、イタリアにも「蜘蛛の巣」が張り巡らされていました。
イタリア新政権の若手首脳が、果たしてどう立ち向うのか? F-35「死のスパイラル」の引き金を引くのか・・・興味津々です。
関連記事
「なぜ米国はF-35を中止できない?」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-16