23日、ウェルシュ米空軍参謀総長がプレスクラブで講演し、予算が強制削減されることを前提とし、しっかり訓練でき作戦可能な規模に米空軍を絞りこむ必要があると語りました。
そのため、2015年度予算案では「航空機予算が海軍より少ない米空軍」状態となるが、今後1年から1年半の間に方向性を決め、「トラウマを乗り越え」、将来に集中できるようにしたいと語りました
米空軍トップは腹をくくって
●2015年度予算案では、航空機への予算が米空軍より海軍の方が多い。同時に、米空軍は得意機首の全廃計画を進め、装備の近代化施策を先送りしている
●このような状況下、米空軍兵士は短期間の間ではあるが、彼らの装備や任務が彼らを落胆させるような状態にある不安定な時期を迎えることになる
●米空軍に入隊した者にはそれぞれ理由があるが、他軍種でも同じように、彼らの任務や自身の姿に誇りを持ちたいからだろう。そうでなければ兵士は空軍を去るだろう
●米空軍が取り組もうとしているのは、米空軍の規模を、適切に訓練でき作戦可能な規模にすることである。バランスを取り戻すことである
●強制削減は法律であり、2016年にはその削減が再び戻ってくる。そうなったら現規模の空軍は、訓練して作戦することが出来ない。縮小する必要がある
●だから米空軍は「force management programs」を早急に開始し、今後1年から1年半の間に方向性を決め、「トラウマを乗り越え」る必要がある。そして初めて、将来に集中できるようになるのだ
「Strategic agility」がコンセプト
●「Strategic agility」は何か単一の任務や能力獲得を目指すものではない。制度的な変革を目指すものである。
●本コンセプトには現実的な支出制限が欠かせない。シンプルな概念とも言えるが、達成は容易ではない。教育、訓練、意志決定、調達から作戦運用まで全てに関係するコンセプトである
●コンセプトの目指す点に達するには、全てを少しずつ変えなければならない。長い道のりである。単年度で可能ではないが、根本的に空軍の戦略を見直して長期的方向を示さなくてはならない
●呼吸する生きている戦略とのアイディアを持っている。長期的な科学技術動向も踏まえ、マスタープランや支出に関する5カ年計画の作成も考えられる。
●負担を後送りするようではもう駄目。予期できる将来に準備出来そうもない予算を当てにすべきではない
A-10全廃が認められなかったら
●例えば42機だけA-10を残せと言われたら、1000億円しか削減できない。全廃なら、整備施設や装備全ての維持費等も削減でき、4200億円削減可能である
●もしA-10全廃の代替案を求められたら、F-16を363機削減(14個飛行隊分)やF-15Eストライクイーグル削減やB-1全廃を持ち出す必要がある
●これは極めてリスクの高い選択となる。A-10が行うCASの代替は他機で可能だが、代替案の機首無くしては本格的な「big conflict」に勝利することが難しい
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米空軍を責めたり批判する気はありません。他人の振り見て、我が振り直せ、です!
西側諸国の軍は皆同じ
●米軍は強制削減に直面しても、軍種間の統合や作戦の効率アップが進みそうもない。組織間の対立が深まるばかりで、混迷の度を深めている
●日本も考えるべき。国家財政が極めて厳しい状況にあり、かつ国民の権利意識が高まる中、中国の脅威を持ち出しても国防費を極端に大幅増加させることはほぼ不可能と認識すべき
●強制削減に直面して混乱する米軍を反面教師とせよ。明日は我が身である。シルバー民主主義が蔓延する中、現防衛費程度で何をすべきか、スクラップ&ビルドはどうあるべきかを考えるべき
日本の「米軍崇拝」幹部を信じるな!
●繰り返し紹介してきたように、米軍は予算削減の規模や予定も知らされず、どの装備や施策を削減するのかも決められない状態。脅威の変化や戦い方の変化に取り組む実質的余裕無し。
●従って、断片的な米軍情報だけにしがみつき、今の米軍状況を把握せず、「米軍崇拝」を続ける自衛隊幹部の誤った目標設定は破滅の道。米軍の力は不可欠だが、盲従では対中国構想はいい加減になる
●日本こそが脅威の最前線にある。純粋な目で脅威を分析し、如何に効率的に抑止力を高め、米軍をうまく活用して作戦能力を高められるか、頭に汗をかいて熟考すべき(当然その結果は、戦闘機への投資削減に至るであろう)
アヘンを吸って夢みているようでは駄目!
「米空軍戦略を自虐的に語る」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-03-29-1
米空軍の混乱や迷走から学ぶ
カテゴリー「米空軍」
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300801463-1