5日以内に侵攻可:ウクライナ国境に露軍大集結

Breedlove-NATO.jpg2日、NATO最高司令官のPhilip Breedlove米空軍大将は4万人のロシア軍がウクライナ国境に集結しており、その即応体制から3~5日間でウクライナへの侵攻作戦を実行可能になろうと懸念を示しました。
集結中のロシア軍には、電子戦機や輸送用のヘリの他、野戦病院までも含まれている模様で、「非常に大規模で能力が高い即戦力部隊である」とロイターとWSJ紙とのインタビューで語った模様です
2日付ロイター報道によれば・・・
●Breedlove司令官は「状況に信じがたいほどの懸念を有している:incredibly concerning」と推定4万人のロシア軍が集結している状況を表現した。
●集結しているロシア軍部隊は「命令が下れば、ウクライナへの侵攻が可能な構成になっており、命令後3~5日間でウクライナへの侵攻作戦を実行可能な準備態勢にある」と同司令官は分析している
●ロシアは隣国に侵入する意図はないとしているが、ロシア民族保護のためには介入の権利を有するとも主張しているところである
Breedlove-NATO3.jpg●Breedlove司令官は、いくつか想定される露軍のウクライナ侵攻を語った。まず南ウクライナに侵攻し、クリミア半島への回廊を確保する。更に西進し、黒海に面する重要港湾オデッサまで占領する。
●もしくは更に西侵攻し、ロシア語系住民が多いモルドバの「Transdniestria」を併合する事までも考え得る。ロシアはまた、ウクライナの北部や北東部地域、つまりかつてのソ連邦領域にまで侵攻する戦力を有している
Breedlove司令官は「NATOメンバーでないウクライナでの作戦計画は有していない。欧州全体に大きな犠牲を強いる様な軍事衝突を避け、何とか平和的解決を図らねばならない」と語った
NATOの将来方向や諸課題
Breedlove-NATO4.jpg●一方で同司令官は最近のウクライナ情勢を受け、「変化したパラダイムにどう対応するか吟味する必要があり、NATOIの戦力組成、配置、即応体制等を再考する必要がある」とも語った
●今秋開催されたNATO外相会議で、同司令官は15日までに陸海戦力の増強を含む対処パッケージ案を立案するよう求められている。既に米海軍は先月黒海に艦艇を展開させ、米空軍も欧州の航空機を増強した
●同司令官は、米軍が開始した「北部と中央に航空機、南部に艦艇を増強」の方向をNATOのモデルにすると語っている。またNATOは、いくつかの演習の前倒し実施をするだろう
●またNATOは、陸海空軍と特殊部隊を含む「NATO Response Force」の即応体制(アップ)を考え、対応時間の短縮を図ろうとしている
シリアの化学兵器処分機材を搭載した米国船「Cape Ray」の護衛任務を、NATOとロシアが協力して実施する計画があったが、ウクライナの件で頓挫した
しかしこの任務には、多くのNATO加盟国から艦艇派遣の申し出があり、NATOで対応可能だろう
●多くの国で国防費の削減が進むNATO加盟国間では、国防予算の議論が再び起こっている。NATOの目標である(GDP)2%目標を達成している国は限られているが、Breedlove司令官は「加盟国は2%を達成する必要がある」と語った
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Breedlove-NATO2.jpgまさか・・・とは思いますが、そのまさかが起こったのが「朝鮮戦争開戦時の北の奇襲」であり、「第4次中東戦争でのアラブ側の奇襲」であり、「サダム・フセインによるクウェート侵攻」でした。
前線の状況を把握し、また衛星写真を見ていた情報分析官は、精一杯の警報を発したのですが・・・
そんなことにならないことを祈るばかりです・
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我が国防を考える記事
戦闘機の呪縛から離脱せよ!→ http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-04-16
「脅威の変化」を体に叩き込む→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2012-10-08
防衛構想や防衛力整備を考え直そう→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2014-01-27
しみじみ考えるシリーズ
ロバート・ゲーツ語録100選→ http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19
書籍「失敗の本質」の視点で「今」を→ http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

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