米特殊部隊がアフリカと北極での課題を

「アフリカは我が世代の、北極は次世代の課題だ」
webb.jpg20日付Defense-News記事が、米軍特殊部隊幹部が軍需産業関係者に語った「特殊部隊の課題・ニーズ」について紹介しています。
時期不明ながらフロリダ州タンパで開催された特殊部隊関連の業界団体総会では、過去10年以上にわたって戦いの中心であったイラクやアフガンとは異なる、アフリカや北極での活動を意識した軍幹部の発言が相次いだようです。
冒頭の言葉は、米欧州軍の特殊作戦コマンド司令官Brad Webb空軍少将の言葉であり、自身の担当地域について述べたものです。従って、ソマリアのアルカイダや、イラクやシリアでの米特殊部隊の任務重要性に変化はありません
しかし、新たなフロンティアであるアフリカや北極は、今後世界的にも関心が集まりそうな地域ですので、これを機会にご紹介したいと思います。
20日付Defense-News記事によれば
北極での課題
●今後眠っている資源を求め、北極地域には多くのプレーヤーが殺到すると考えられており、当地域は軍事戦略にとって重要性が増大している
●米欧州軍特殊作戦コマンド司令官Brad Webb少将は「北極航路が利用可能になるにつれ、領土や経済区域を巡り国家間の対立が発生する可能性が高まる」と述べ、「低緯度地域に焦点を当てた従来の通信装備が問題となる」と訴えた
Metz.jpg●北米軍特殊作戦コマンドのKerry Metz海軍少将はWebb少将の懸念を共有し、「10年にわたる中東での活動で、我々の北極地域での経験は失われた。特殊部隊は北極に注目してこなかったのだ。今後2~3年をかけ、経験を取り戻さなければならない」と危機感を表明した
●Metz少将は「第1特殊作戦軍や第10特殊作戦軍が、北極や山岳地域での行動要領についての知見を再び蓄える役割を担うだろう」と語った
アフリカでの課題
Linder.jpg●アフリカ特殊作戦コマンドのJohn Linder米陸軍准将は、情報収集技術が必要で、関係国とのよりシンプルな情報共有手段が必要だと語った
●同准将は「状況掌握能力が必要だ。活動地域全体で発生している全体像をピクチャーとして把握でき、想定される事態に先行的に対応できる能力を持ちたい。また、他のプレーヤーが対処出来るのか、対処しなくて良いのかの判断を適切に行いたい」と語った
●また同准将は「米国と同レベルの技術を持たない情報共有が課題であり、米軍の持つ情報をそのような持たざる国が活用できるような手段を考えてほしい」と産業関係者に要望した
●中央軍エリアの特殊作戦を担当するMichael Nagata少将は、アフガンで使用した装備や技術が、環境が異なる米軍活動地域で使用できると考えるべきでないと注意喚起した
同少将は「我々が保有する装備が、我々に必要な装備だと考えると間違いを起こす。場合によっては、より小さな、よりシンプルな、また情報開示の必要のない装備が適当な事もある」、また「我々が直接手を下すのではなく、ISRを提供し、支援し、彼ら自身に遂行させる事がベターなこともある」と訴えた 
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情報共有やコミュケーション(通信)の問題をまず取り上げる当たりは、さすがに実戦経験豊富で世界を股にかける米軍だな・・と思います。
Nagata-centcom.jpgまた中央軍のNagata少将が述べた「我々が保有する装備が、我々に必要な装備だと考えると間違いを起こす」との言葉は、色んな場面に当てはまりそうな言葉です
法的制約で特定装備の保有しか認められてこなかった為に、特定装備の範囲内でしか思考できなくなり、いつの間にか特定装備の世界を「組織防衛」するようになってしまった皆様にも贈りたい言葉です
日系のNagata少将の発言原文は「We shouldn’t make the mistake of thinking that what we have is what we need」です。
同少将は数年前のパキスタン大洪水の際も、現地でご活躍でした。
「Nagata少将とパキスタン大洪水」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-02-17
ロバート・ゲーツ語録100選より
(100選は→http://crusade.blog.so-net.ne.jp/2013-05-19)
●パートナー支援の5原則
→1に柔軟で迅速な対応 2に議会の監視による基金の適切な運用 3に支援は長期安定的に 4に国務省が主導し外交の優先順位との整合を 5に謙虚で現実的な視点を
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-06-15-1

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