17日付Defense-Newsが、ジョンズホプキンス大学の「38 North」研究所のwebサイト記事を引用し、北朝鮮が旧ソ連製らしい対艦巡航ミサイルを艦艇に装備したらしいと報じています
また最近、金正恩が潜水艦に搭乗して指導する様子を紹介する写真が出回っており、話のネタにご紹介します。
17日付Defense-News記事によれば
●17日付「38 North」webサイトは、北朝鮮がロシアの対艦巡航ミサイルをコピーして艦艇に搭載したらしいと報じている。プロパガンダ用と思われる同ミサイルの発射映像が、ソーシャルメディア上で流布されている模様
●同サイトで東アジアの軍事情勢を専門にしているJeffrey Lewis氏は、北朝鮮軍の装備に「新たな不安定要因となる兵器が加わった」とコメントしている
●Lewis氏は映像等から、当該ミサイルがロシアが80年代から90年代にかけて開発した「KH-35」をコピーしたものではないかと見ている。(まんぐーす注:射程は130km程度で、弾頭は300ポンド程度)
●同ミサイルの射程や弾頭規模は、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)の許容値内だが、北朝鮮に巡航ミサイルを輸出することは国連制裁決議に違反する行為である。
●Lewis氏は「恐らくロシアから直接売却されたものだろうが、ミャンマーのような第3国から北朝鮮が入手した可能性もある」と述べている
●また「ロシアはミャンマーだけでなく、海上発射や地上発射の巡航ミサイルをインドやベトナム、ヴェネズエラやアルジェリアに輸出した実績がある」とも述べている
●更に「考えたくはないが、北朝鮮がKH-35の技術を他国に売り払っている可能性もある」と述べている
●5月に「38 North」webサイトは、北朝鮮が最近、過去25年間で最大の艦艇2隻を建造した模様だと指摘し、その衛星写真を掲載している
●同サイトはその際、2機のヘリコプターを搭載したフリゲート艦を「経済制裁への(欠陥を示す)警告だ」と紹介している
●なお、本記事と共に紹介している写真は、韓国メディアが16日に公表した写真で、金正恩が北朝鮮のロメオ級潜水艦(1950年代にソ連で建造)に乗艦して「指導」する様子
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北朝鮮が獲得したかもしれない「KH-35のコピー」だけを取り上げ、大変だ!と叫ぶつもりはありませんが、安価に世界に拡散する各種誘導ミサイルに北朝鮮が目をつけている点は無視できません
高度ながら脆弱な社会インフラに依存する近代的な国家を相手に想定した場合、安く手に入る誘導兵器は強力な効果を期待できます。多くの西側近代軍も多くの脆弱なインフラに依存する点で同じです
この点に目を背け、何時までも戦闘機や空母や戦車に拘っていると、国の安全保障を危機にさらすことになります
ご興味があれば:「38 North」webサイト
→http://38north.org/