19日付Defense-News記事は、英国のファーンボロー航空ショーに米政府高官が多数参加し、米軍需産業の海外売込みを積極的にサポートしたと報じています。
特に予算の強制削減で昨年のパリ航空ショーに参加しなかったことを反省材料とし、米国内需要が減少する穴埋めを官民を上げて国外市場に求める動きが活発化しているようです
一方で同記事は、複数の米国政府機関(国務省、商務省、国防省)が絡む複雑で不明確な輸出規制が、依然として輸出促進の大きな障害になっていると紹介しています
Defense-News記事は米政府高官の売りこみを
●ファーンボロー航空ショーで米国の産軍複合体は、国内市場が予算削減や国内需要が落ち込む中、かつてなく国外市場を狙っていることを明確にした。F-35の初の海外披露キャンセルは痛手だったが。
●230を超える大小の米国企業が参加した同エアショーには、米国企業であることを示すサインボードが目立ち、政府高官の参加者は過去の顔ぶれを遥かに上回る、調達担当国防次官、米空軍長官、海軍と空軍省の調達担当トップ、更に欧州米空軍司令官等が顔を見せた
●ケンドール調達担当国防次官は「昨年のパリ航空ショーに国防省関係者が参加できなかったことは残念だったが、致し方なかった。しかし私は1年半ほど前に、このような海外イベントへの参加をふやすことを決断した。米軍需産業に対するサポート姿勢を明確にすることが、重要だからだ」と理由を語った
●更に同次官は「限られた時間の中で、複数の海外のパートナーと集中して面談して議論することが出来る貴重な機会であり、新たな技術を発見できる機会でもある」と付け加えた
●James米空軍長官は「このような機会を通じ、米空軍と産業界が相互協力や関係をより迅速に発展させる道を探っている」と述べた
●更に同長官は「米国製の輸出力は重要だ」とし、「産業基盤の維持を重視し、過去のような厳格さだけを求める手続きではなく、空軍の要求を産業界との意思疎通を円滑にして伝え、手順に生じる課題を共に解決するため協力を強化している」と付け加えた
●全米航空工業会のMarion Blakey会長は「昨年のパリ航空ショーへの国防省関係者の不参加は、極めてネガティブな記憶として刻まれているが、ファーンボローでの国防省のプレゼンスは素晴らしく、産業界は高く評価する」と述べた
●同会長はまた「我々の会員企業はますます海外市場に眼を向け始めており、これは同盟国等との相互運用性を高めることになり、また価格やコスト低下にもつながる」と意欲を示し、「これらは国防省関係者の利害とも一致する」と訴えた。
輸出管理の緩和は依然課題
●14日に全米航空工業会が主催したパネル討議に、米政府機関から関連する3名が登壇した。国務省と商務省と国防省の輸出規制担当の次官補や次官補代理である。このメンバーの登場自体がこれまでの航空ショーとの違いを際立たせている
●国防省の担当部長は「昨年からこのような場に出席するようにしている。輸出を規制する悪者のイメージを払拭したい」と切り出し、「海外の関係者と直接対面し、彼らの要望や当面の課題を把握することがきわめて重要だ」と語った
●産業界関係者からは、無人機の輸出規制を含む規制改革の状況について質問が出たが、国務省の担当次官補代理は「いまだに政府内での議論が続いてる。産業界からの要望が高いことは承知しており、意見を直接聞けるこのような場は貴重だが、もう少し検討が必要だ」と対応していた
●ケンドール次官も産業界の要望を理解しており、「彼らの要望は、何が可能かを明確にしてほしいということである。また、彼らが問い合わせた際、素早く回答が得られることを望んでいる」と問題認識を語っている。更に「規制をなくせとは言っていない。制限を明確にしてほしいといっているのだ」と説明した
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Defense-News記事は「奥ゆかしい」表現になっていますが、実態は「なりふり構わぬ」売り込み大作戦なのでしょう。
日本へも同様の「強烈な売込み」があるのでしょうが、同じ額の投資を行うなら、F-35だけではなく、戦力全体のバランスを考えた投資が必要でしょう。
電子戦、空中給油、精密誘導兵器、無人ISRセンサー、そして作戦基盤基地の強靭化等々への投資を無視し、戦闘機だけに投資していては何も出来ません
だから所要数算定の根拠なき戦闘機を削減し、バランスの取れた防衛力整備を行うべきと申し上げているわけです。そして、将来の法体系見直しを見据え、今から長距離誘導兵器導入を踏まえた装備体系に備えるべきと考えているわけです。
2007年から同職を勤める辣腕女性
「豪腕!全米航空工業会の会長」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-06-29