14日、デンプシー統合参謀本部議長は米軍人トップとしては43年ぶり(1971年以来)に、ベトナム訪問を開始しました。
ハノイ到着後、早速ベトナムのNguyen Tan Dung首相やPhung Quang Thanh国防相を表敬し、カウンターパートとなるDo Ba Ty中将と会談を行い、将来の両国軍事関係進展に向けた議論を行った模様です
米国防省webサイト記事には、南シナ海での中国との衝突関連の話題をあまり取り上げない「配慮」が感じられますが、当然たっぷり意見交換されたものと思います
15日付米国防省webサイト記事は
(米空軍協会web記事も合わせて)
●デンプシー議長のベトナム訪問は、中国と関係国の緊張緩和を狙いとしてミャンマーで行われた、ARF閣僚会合やASEAN&3カ国外相会談につづいて行われたものである。
●報道によれば、デンプシー議長はベトナム側関係者に対し、米国が間もなく「致死性兵器の禁輸」を撤回すると伝えた。また同議長は、旧米軍基地内に設けられたダイオキシン除染施設やホーチミン市を訪問する予定
●同行の米国防省高官は、米軍はアジア以外の地域での活動にも関与しているが、依然としてアジア太平洋リバランスに真剣に取り組んでいることを本訪問は示していると語った。
●ベトナム首相は会談後に記者団に対し、捜索救助活動や災害対処分野で米国との協力を拡大すると発表し、ベトナム戦争処理(枯葉剤対策や不発弾処理、行方不明米軍人捜索等)に引き続き協力して取り組むと述べた。
デンプシー議長は本訪問に関してhttp://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=122935
●歓迎の儀仗式典に参加し、両国国旗が並ぶ中で国歌が演奏されるのを聴いた時、かつての敵同士も友好国になれるのだとしみじみ感じた。もちろん双方の努力なくしては起こりえないが、可能性を強く感じた
●米軍に入って最初の4年間、つまり陸軍士官学校で私はベトナムと如何に戦うかを考えながらすごした。卒業時には戦争は終わっていたが。Ty中将に私は、その国との関係を深めようとして訪問していることに時の流れを感じると話をした。
●両国は共通の利害関係を有している。東南アジアと中国の間に位置するベトナムの地政学的位置を考えれば、南シナ海での領土問題を平和的に解決する重要な役割を担っている
●ベトナム戦争に関する諸課題に関する議論は、昨年に比しても格段に深化している。だが我々は過去の戦いを超えて、新たな関係構築に向かっている。
●両国軍は海洋安全保障や災害対処や人道支援の協力に向け取り組んでいるが、両軍スタッフ間の協議をより頻繁に深化させることにも合意している
●当地域にことになると皆が中国問題を考えるが、それだけではない。地域の政治的、経済的、外交的成長や拡大を考えれば、アジア太平洋リバランスは当然の流れである
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デンプシー議長の訪問特設webページ
→http://www.defense.gov/home/features/2014/0814_dempsey1/
国防長官や国務長官は、既に数年前に「ベトナム戦争後初」の訪問を済ませたと思いますが、統合参謀本部議長が43年ぶりとは・・・。
しかし、とりあえず要人の訪問で「アジア太平洋リバランス」を食いつなぐ、苦心の取り組みです。先週はヘーゲル長官がインドと豪州訪問でしたし。
ご心配なく。現在、国防副長官もアジア歴訪中で、ハワイとグアムに加え、日本と韓国も訪問する(した)そうです。
ヘーゲル長官のインド訪問
→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
Work副長官のアジア訪問
→http://www.defense.gov/news/newsarticle.aspx?id=122921
米ベトナム関連記事
「パネッタ長官がカムラン湾に」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2012-06-04
「ASEAN会合@ベトナムにゲーツ長官が」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2010-10-11
「頑張れベトナム」→http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2011-10-18